「資格」と聞くと、「年単位の学習期間が必要」「仕事との両立は難しい」と考えてしまいがちですが、比較的短期間で取得を目指せる資格は多数存在します。
そうしたなかには1日の講習で取得できる民間資格から、実務に役立つスキルを1~3か月で習得できる国家資格まで、さまざまな種類がそろっているので、学習期間が限られている方でも自分に合った資格がきっと見つかるはずです。転職やスキルアップにつながる資格はもちろん、趣味や暮らしの質を高められる資格も多いので、どんなものがあるか一度確認してみてはいかがでしょうか?
当記事では、取得期間別におすすめの資格を整理し、実用性や活用シーンにも触れながら紹介していきます。短期間で取得を目指せる資格をお探しの方は、ぜひ参考にしてください。
【取得期間別】短期間で取得を目指せる資格一覧
資格には限られた時間のなかでも取りやすく、実務に役立つものがたくさんあります。「資格取得の目的」や「学習に使える時間」を明確にしたうえで、自分にぴったりの資格を見つけてみましょう。
以下では、取得にかかる期間別に、おすすめの資格を紹介します。
1日で取得を目指せる資格
忙しい方や気軽に資格を取得したい方には、講習や試験が1日で完結する資格がおすすめです。「資格には興味があるけれど、何を取得すればいいかわからない」という方も、まずはここから始めてみてはいかがでしょうか。
- 整理収納アドバイザー(2級)
整理収納アドバイザー2級は、特定非営利活動法人ハウスキーピング協会が認定する民間資格で、整理収納の基本的な考え方から実践的な収納のコツまで、事例を交えながら詳しく学べます。講座は全国各地で開催されており、オンラインでも受講可能です。また、受講資格はなく、1日の講座を受講することで資格が取得できます。
(出典:特定非営利活動法人 ハウスキーピング協会, 特定非営利活動法人 ハウスキーピング協会「整理収納アドバイザーとは?」) - 終活ガイド検定(3級)
終活ガイド検定(3級)は、一般社団法人終活協議会が主催する資格で、取得することで終活に関する基礎知識が身に付きます。3級の学習時間は平均1時間ほどで、受講資格はなし。動画を使った講習で、終活が注目される背景や年金・保険・相続・葬儀・お墓といった終活の全体像が学べます。Web受講なので、どこからでも気軽に挑戦できるのも特徴の一つです。
スキルアップを目指して終活を学びたい方は、3級取得後に2級、1級に挑戦してみるのもよいでしょう。 - 色彩士検定(4級)
ADEC色彩士検定は、色彩に関する専門知識と実践力を評価するための検定です。4級は、色彩に初めて触れる方を対象とした入門レベルで、試験では色の基礎知識や組み合わせの基本、色の効果などに関する問題が出題されます。問題形式は2択または3択で全15問。合格基準は正答率80%以上です。試験は何度でも受けられるので、自分の色彩知識を確認したい方は、ぜひ挑戦してみてください。
- 実用マナー検定(準3級)
公益財団法人実務技能検定協会が主催する実用マナー検定は、ビジネスマナーや日常マナーの知識と実践力を問う検定です。準3級の問題は全20問の選択式。結婚式や食事の場など、日常のさまざまなシーンでのふるまい(あいさつ、見だしなみなどを含む)について出題されるため、問題を解くなかで基本マナーについての理解度が深まるでしょう。
オンラインで気軽に受験できるので、社会人として要求されるマナーを学びたい方の入門編としておすすめです。
(出典:マナー文化教育協会「マナー検定とは」, マナー文化教育協会「マナー検定準3級 オンライン受験」)
1~2か月で取得を目指せる資格
- 日商簿記(3級)
日商簿記3級は簿記の基本を学ぶための資格で、業種・職種にかかわらずビジネスパーソンが身に付けておくべき基礎知識が習得できます。
学習を進めるなかで、仕訳・帳簿記入・試算表作成といった商業簿記の基本が身に付くため、経理や事務職を目指す方の入門資格として人気です。取得することで「基本的な商業簿記を修得し、経理関連書類の適切な処理を行えるレベル」であることが証明できるので、未経験から経理分野に挑戦したい方には、特におすすめです。
(出典:簿記 商工会議所の検定試験「3級」) - MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
MOSは、WordやExcel、PowerPointといったMicrosoft Office製品の操作スキルを評価・証明するための資格です。MOSには、一般レベルの「アソシエイト」と上級レベルの「エキスパート」があり、1~2か月で取得可能なアソシエイトでは、事務作業において利用されやすい機能や基本操作について問われます。
MOSを取得することで実践的なパソコンスキルが証明できるため、就職・転職時のアピールとして活用できるでしょう。
(出典:Microsoft Office Specialist「MOSとは/MOS取得のメリット」) - 色彩活用パーソナルカラー検定(3級)
「色彩活用パーソナルカラー検定3級」は、一般社団法人日本カラーコーディネーター協会(J-color)が主催する資格です。試験はCBT方式。特別な要件は必要なく、誰でも受検可能です。公式テキストを使った学習で、自分に似合う色の見つけ方や色彩に関する基本的な知識が身に付くため、ファッションや美容、接客など幅広い分野に役立てられるでしょう。
(出典:一般社団法人 日本カラーコーディネーター協会[J-color]「色彩活用パーソナルカラー検定」) - 食生活アドバイザー(3級)
食生活アドバイザーは、「食生活を総合的に見直す幅広い見識を持ち、的確な指導やアドバイスをするスペシャリスト」として、一般社団法人FLAネットワーク協会が認定する資格です。3級は初心者向けで、栄養・運動・休養という3つの観点から健康管理の基礎を学ぶほか、食習慣やマナー、食の安全性、環境問題などの知識も身に付けられます。
食の基本を学びたい方におすすめの資格で、習得した知識は家庭での健康管理だけでなく、飲食業・販売・教育などの現場でも生かせます。
(出典:一般社団法人 FLAネットワーク協会 食生活アドバイザー検定「食生活アドバイザー®検定とは」, 一般社団法人 FLAネットワーク協会 食生活アドバイザー検定「3級カリキュラム」) - アロマテラピー検定(1級)
アロマテラピー検定1級は、公益社団法人日本アロマ環境協会(AEAJ)が主催する資格で、試験を通じて精油の種類や安全な使い方、心身への作用などの知識を体系的に学べます。日常生活でのセルフケアやリラクゼーションに役立つほか、資格取得後にAEAJへ入会すれば「アロマテラピーアドバイザー」の資格申請も可能です。
出題範囲は、アロマテラピーの基本、アロマテラピーの安全性、アロマテラピーのメカニズム、アロマテラピーとビューティ&ヘルスケアなどで、出題数は70問。サロン勤務の方はもちろん、介護・教育の現場などでアロマの知識を生かしたい方にもおすすめです。
(出典:公益社団法人日本アロマ環境協会(AEAJ「アロマテラピー検定」) - ITパスポート
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が認定するITパスポートは、ITに関する基礎的な知識を証明する国家試験です。合格を目指すにあたっては、情報セキュリティやネットワーク、システム開発などの知識だけでなく、経営戦略や会計といったビジネス知識も必要となるため、IT業界以外の職種でも活用しやすい資格といえます。
近年は、ITの基礎知識を備えた人材を求める企業・団体も増えており、就職・転職活動での自己アピールにもつながるでしょう。
(出典:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「iパスとは」, 「合格のメリット」)
2~3か月で取得を目指せる資格
- FP技能士(3級)
FP(ファイナンシャル・プランニング)技能士は、顧客の資産に応じた貯蓄・投資プランの立案・相談の技能を認定する国家資格です。取得することで、税金、投資、住宅ローン、不動産、教育、老後、相続など、日常生活に関するお金のエキスパートとして活躍できます。
FP技能検定には、1級、2級、3級の等級があり、それぞれに学科試験と実技試験が設けられていますが、3級は特別な受験資格がないため誰でも挑戦できます。取得することで、金融業界や不動産業界への就職・転職に役立つほか、家計管理や資産形成にも生かせるでしょう。
(出典:日本FP協会「FP技能検定とは」) - 医療事務
医療事務は、病院やクリニックの受付・会計・レセプト業務(診療報酬明細書の作成)など、医療現場に欠かせない事務スキルを基礎から学べる資格です。
医療事務の仕事に就くのに資格は必須ではありませんが、人気の高い職種のため求人の競争率が高くなりがちです。そのため、医療事務に関する知識を証明できる資格を持っていたほうが、面接などで有利になるでしょう。
(出典:JSMA 技能認定振興協会「医療事務技能認定試験」)
医療事務にはさまざまな資格がありますが、1~2か月で取るなら、医療事務管理士(技能認定振興協会)または医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)がおすすめです。 - 調剤事務管理士
調剤事務管理士は、調剤薬局事務の仕事(受付や会計業務、処方箋や調剤録の管理、レセプト業務など)に必要な知識と技能を証明する民間資格です。試験勉強を通じて、医療保険制度や薬剤の基礎知識、調剤報酬請求のルールなどを体系的に学べるため、未経験からでも安心して目指せます。
調剤薬局は全国に多数あり、パートや正社員などさまざまな働き方が可能です。また、高齢化が進むなかで調剤薬局の重要度も増しているため、長期的・安定的なキャリアを築きたい方には、注目の資格といえるでしょう。
(出典:JSMA 技能認定振興協会「調剤事務管理士®技能認定試験」, 「調剤事務管理士®のお仕事」) - 登録販売者
登録販売者は、一般用医薬品のうち「第2類」「第3類」に分類される医薬品(かぜ薬、解熱剤、鎮痛剤など)を販売できる専門資格です。試験では、「医薬品に共通する特性と基本的な知識」「人体の働きと医薬品」「医薬品の適正使用・安全対策」などに関する問題が出題され、学習を通じて医薬品や健康管理に関する基礎知識を身に付けられます。
ドラッグストアや薬局、コンビニなど活躍の場は幅広く、資格取得は医療・健康分野への就職やキャリアチェンジの強みとなるでしょう。ドラッグストアや薬局のなかには、資格手当を設けているところもあるため、収入アップにつながる可能性もあります。
(出典:CME@登録販売者JOB「登録販売者のお仕事」) - カラーコーディネーター(スタンダードクラス)
カラーコーディネーター検定試験®(スタンダードクラス)は、色の基礎理論や配色技法、色が与える心理効果、色彩に関する法律・制度などを幅広く学べる資格です。
色彩に関する知識は、ファッション分野、工業分野の商品開発だけでなく、商品陳列やプレゼン資料の作成、Webサイトの制作など、ビジネスシーンのさまざまな場面で役立ちます。カラーコーディネーターの資格取得によって、色の効果をコントロールできるようになれば、活躍の場も一段と広がるでしょう。
ちなみに、検定に特別な受験資格はなく、正答率7割以上(100点満点中70点以上)で合格となります。
(出典:東京商工会議所「カラーコーディネーター検定試験®とは」, 「受験案内・お申込み」)
【目的別】短期間で取得を目指せる資格一覧
短期間で取得を目指せる資格には多くの種類があり、目的やライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。ここでは「就職・転職に生かしたい」「趣味や教養として学びたい」など、目的別におすすめの資格を紹介します。
自身の方向性に合った資格を選ぶことで、学習のモチベーションも高まり、より効果的なスキルアップにつながるでしょう。
就職や転職に!仕事に生かせる資格
- ITパスポート
- FP技能士(3級)
- 登録販売者
- MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
- 日商簿記(3級)
就職や転職を目指す方には、「実務に直結する資格」を短期間で取得するのがおすすめです。なかでも、国家資格は信頼性が高く、企業の採用担当者からも注目されやすくなります。
たとえば、ITパスポートやMOSはパソコンスキルを証明できる資格で、業種を問わず評価されやすい傾向にあります。また、日商簿記3級やFP技能士3級はビジネスの基礎力を示せるため、事務職や経理職、営業職など幅広い部門で知識・スキルを生かせるでしょう。登録販売者のような国家資格も、医薬品業界で働く際の大きなアピールポイントとなります。
自宅や副業で役立つ資格
- 整理収納アドバイザー(2級)
- 終活ガイド検定(初級)
- 食生活アドバイザー(3級)
- アロマテラピー検定(1級)
日常生活に役立つ資格や副業に生かせる資格は、柔軟な働き方を求める方や主婦の方におすすめです。
整理収納アドバイザー2級で得た知識は、自宅の片付けだけでなく家族・友人へのアドバイスにも生かせます。上位の級を(1級)取得すれば、プロの整理収納アドバイザーとしても活躍できるでしょう。終活ガイド検定や食生活アドバイザーも、在宅相談や記事執筆などの副業につながる資格です。
また、アロマテラピー検定を入り口にアロマテラピーの知識を深めていけば、アロマアドバイザーやアロマテラピーインストラクター、アロマセラピストなどの道も開けます。
趣味を生かす自己啓発系の資格
- カラーコーディネーター(スタンダード)
- パーソナルカラー検定
- 色彩士検定(4級)
- 実用マナー検定(3級)
趣味や自己啓発を目的とした資格は、暮らしをより豊かにするきっかけになります。カラーコーディネーターやパーソナルカラー検定は、ファッション、メイクに役立つ色の知識が身に付くため、日常のなかでカラーコーディネートを楽しみたい方にぴったりです。
色彩士検定はインテリアやデザインに関心がある方におすすめで、3級以上に挑戦すれば、色の知覚や心理効果、色の文化や歴史、実際の色彩設計などを体系的に学べます。実用マナー検定も、日常生活の所作や言葉づかいを整えたい方に人気の資格です。
これらは収入に直結する資格ではありませんが、学ぶ過程が自己研鑽や日常の充実につながる点に魅力があります。
医療・介護・福祉系の資格
- 医療事務(初級)
- 調剤事務管理士
- 終活ガイド検定(初級)
医療・介護・福祉系の資格は、人と接する仕事に就きたい方や、社会貢献を目指す方に特におすすめです。医療事務(初級)や調剤事務管理士は、学びを深めるなかで実践的なスキルが身に付くため、資格取得後すぐに病院や薬局の事務職として活躍できます。
終活ガイド検定は、初級からスタートして2級、1級とステップアップしていくことで、人生の終末期にかかわる相談や情報提供を行うための知識が習得できます。どれも需要の高い分野なので、安定したキャリアにつながりやすいのも大きな特徴です。
まとめ
短期間で取得を目指せる資格は種類が多く、就職・転職を目指す方から趣味を深めたい方まで、さまざまな目的に対応できるのが魅力です。
たとえば、ITパスポートや日商簿記3級は、ビジネスシーンで使える知識・スキルが身に付き、整理収納アドバイザーやアロマテラピー検定は、プライベートの充実や副業に役立ちます。また、医療・福祉分野の資格は安定した需要があり、社会貢献にもつながります。目的やライフスタイルに合わせて、自分に合った資格を選びましょう。
※当記事は2025年4月時点の情報をもとに作成しています
※掲載内容について情報が更新されている場合がありますので、必ず公式サイトにて最新情報を確認してください