何か申し出るとき、「させていただく」という表現を使うことがあるでしょう。
「させていただく」は、丁寧な印象を与えられる便利な言葉ですよね。一方で、「二重敬語ではないの?」といった疑問を抱く方が少なくない、使い方が難しい敬語の一つです。
そこでこの記事では、「させていただく」が二重敬語にあたるのか解説。また、使い方を例文とともに紹介します。
「させていただく」は二重敬語?
ビジネスシーンでよく使われる「させていただく」という言い回し。しかし、「二重敬語ではないのか」という指摘を見聞きしたことがある方はいるかもしれません。「させていただく」は二重敬語なのでしょうか?
正解は?
結論から述べると、「させていただく」は二重敬語ではありません。「させてもらう」の謙譲語であり、正しい敬語です。
「させていただく」の正しい使い方
「させていただく」自体は正しい敬語ですが、誤用が多い言葉でもあります。
誤用が多い1つ目の理由は、「させていただく」を使えるシーンが限られることです。文化庁が公表している『敬語の指針』によると、「させていただく」は以下の条件を満たしているときに使うのが適切であるとされています。
- 相手もしくは第三者の許可を得て行う
- そのことで自分自身が恩恵を受ける
適切な使い方の例
- 体調不良のため、相手の許可を受けて予定を変更する場合:「本日15時からの打ち合わせですが、体調不良のため明日以降に延期させていただけないでしょうか」
- webページ作成のため、取引先の許可を得て企業のロゴを使用する場合:「弊社のwebページで貴社とのお取組みを紹介したく、お取組み内容と貴社のロゴを掲載させていただけないでしょうか」
相手の許可が要らない場合、または自分自身が恩恵を受けるといえない場合は、「○○いたします」などの表現で十分といえます。
「させていただく」の誤用が多い2つ目の理由は、組み合わせる言葉次第では二重敬語になってしまうことです。「させていただく」は謙譲語なので、他の謙譲語と重ねて使用すると二重敬語になります。
二重敬語になってしまう例
- 「拝見させていただく」(謙譲語+謙譲語)
- 「伺わせていただく」(謙譲語+謙譲語)
上記の場合、それぞれ「拝見します」「伺います」とするのが適切です。
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