
副業を始めるにあたって、「資格があったほうがよいのだろうか?」と悩む方は少なくありません。結論をいえば、特定の仕事以外に資格は必須ではありません。たとえば、ライティング(文章作成)やデザインのようにスキルや実績が評価される分野では、資格がなくても十分に活躍できます。
ただし、資格はスキルを客観的に証明するための「武器」となるため、依頼主からの信頼が深まったり、案件獲得につながったりする可能性が高まります。本業と副業の双方に生かせる資格を取得すれば、キャリア形成にも役立つでしょう。
また、医師や弁護士、建築士といった業務独占資格が必要な職種では、無資格のまま業務を行うことは法律で禁じられています。
当記事では、副業に役立つ資格や選び方のポイントを紹介します。副業を始めようと思っている方や、将来のために資格取得を検討している方は、ぜひご覧ください。
- 副業で稼ぐのに資格は必要?
- ライティング・デザインの副業におすすめの資格
- IT系の副業におすすめの資格
- 金融系の副業におすすめの資格
- コンサル・ビジネス系の副業におすすめの資格
- 副業で安全に稼げる資格の選び方
- まとめ
副業で稼ぐのに資格は必要?
副業を始めるにあたって、必ずしも資格が必要なわけではありませんが、前述したように、資格は仕事を依頼する側からの信頼を得るために有用です。特に、実務経験がない分野で副業を始める場合は、知識やスキルの証しになってくれるでしょう。
専門性の高い資格を取得することで、高単価の案件を受注できたり、受注の幅が広がったりする可能性もあります。
副業を安定的かつ長期的に続けようと考えるのなら、資格取得を検討する価値は十分にあるでしょう。
ライティング・デザインの副業におすすめの資格

ライティングやデザインの分野は、副業として人気が高く、専門的なスキルを証明できる資格を持つことで、案件獲得や単価向上につながるケースも少なくありません。ここでは、知識や専門性を示せる資格を3種紹介します。
WEBライティング技能検定
WEBライティング技能検定は、クラウドソーシングでのWEBライティング業務に必要な知識と、文章作成スキルを証明する民間資格です。資格取得には、一般社団法人日本クラウドソーシング検定協会が主催する講座の受講が必要で、試験は月1回オンラインで実施されます。
講座は、ライティング初心者でも基礎を学びながら合格を目指せる内容となっており、文章の書き方だけでなく、ビジネスマナーや依頼主とのやりとりに必要な知識も身につきます。
試験に合格すると、一部のクラウドソーシングサービスのメールマガジンで「おすすめの人材」として紹介されるため、案件獲得に有利に働くでしょう。未経験から副業を始めたい方や、安定的に案件を獲得したい方には、特におすすめの資格です。
出典:一般社団法人 日本クラウドソーシング検定協会®「WEBライティング技能検定」
日本語検定
日本語検定は、日本語の総合的な能力(表記、敬語、語彙、文法など)を測定する民間資格で、社会人を中心に幅広く活用されています。検定には1級から7級までの階級があり、社会人の場合は3級以上を目指すのが一般的です。
ちなみに、3級は大学生・社会人として必要な基本的語彙力を習得し、場面に応じた適切な表現ができるレベル。2級は社会生活に必要な語彙や言い回しを幅広く習得し、学術論文などの高度な内容の文章も理解できるレベルとなっています。
一方、最難関の1級では学術的文章や古語表現の知識も求められ、記者や編集者、研究者など日本語を専門的に扱う職業向けの内容となります。
正確な日本語表現は依頼主からの信頼につながるほか、コミュニケーション力の向上にも役立つため、WEBライティングやビジネスメール作成など、文章を扱う副業に有効でしょう。
出典:日本語検定「受検概要」・日本語検定「社会人の受検メリット」
色彩検定
色彩検定は、色の基礎知識から配色技法、ユニバーサルデザインまでの知識が学べる民間資格で、アパレルやインテリア、広告、販売など多様な分野で活用されています。試験は1級から3級、UC級(色覚の多様性に関する知識を身につける等級)があり、3級は初学者向け、最上級の1級はプロフェッショナル向けとなります。
色の知識はグラフィックデザインやWEB制作、DTP、アパレルなどの分野で評価されるほか、マーケティング資料やプレゼン資料を作成する際も有用です。
また、配色理論を体系的に学ぶことで、センスに頼らない提案が可能になるため、クライアントからの信頼獲得にもつながるでしょう。
出典:公益社団法人 色彩検定協会「色彩検定とは 〜色彩って面白い〜」
IT系の副業におすすめの資格
IT分野の副業は、プログラミングやシステム開発、WEB制作など多岐にわたります。資格を取得することで、専門的な知識と技術を客観的に証明できるため、未経験者でも案件を獲得しやすくなるでしょう。ここでは、副業に役立つIT系の資格を3種紹介します。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験(AP)は、情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験で、ITエンジニアとしての応用的知識や実務力を評価する資格です。出題範囲は経営戦略やシステム企画から、設計、開発、運用まで幅広く、プロジェクトマネジメントやセキュリティなどの技能も問われます。
難易度は中級から上級レベルに位置づけられており、合格を目指すには広範な出題範囲をカバーするための計画的・網羅的な学習が必要です。
合格すれば、IT戦略の立案や要件定義、設計、運用といった実務的なスキルを証明できるため、特に企業向けの業務委託案件では、大きなアピールポイントとなるでしょう。副業の場面では、システム開発やITコンサルティングなどの案件を受ける際に有効です。
Python 3 エンジニア認定基礎試験
Python 3 エンジニア認定基礎試験は、汎用的なプログラミング言語である「Python」の知識を評価する民間資格です。プログラミング未経験者が取得するには、一定期間の学習が必要ですが、教材や模擬試験を活用すれば独学でも十分に合格可能です。
試験では、「Pythonチュートリアル(オライリー・ジャパン)」に準拠した内容が出題されるため、基礎力を確認する試験としても活用されています。
資格を取得すると、Pythonの基礎知識を証明できるため、WEB開発やデータ分析、AI開発などの案件に取り組む際の第一歩となるでしょう。
ウェブデザイン技能検定
ウェブデザイン技能検定は、WEBサイトの制作に必要な実務知識と技能を測る国家検定で、特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会が実施しています。試験は学科と実技の両方で構成され、インターネット概論、ワールドワイドウェブ(WWW)法務、WEBデザイン技術、WEBサイト運用・管理技術などの知識とスキルが問われます。
検定は1級、2級、3級に分かれており、1級の合格者には厚生労働大臣から、ウェブデザイン技能士の合格証書が発行されます。資格を取得することで、WEBサイト構築やデザインの技能を証明できるため、WEB制作やサイト運営、ECサイト構築などの副業で力を発揮できるでしょう。
なお、フリーランスの活動では、資格の有無が案件獲得や報酬単価に影響する場合があり、資格取得は副業の安定化にもつながります。
金融系の副業におすすめの資格
金融系の副業は、各分野の専門知識と法律理解が不可欠であり、資格を持つことは信頼性や実務力の証しとなります。特に資産運用や税務、会計などの分野は需要が高く、資格取得によって案件の幅が広がるでしょう。
金融系の副業をするにあたって、おすすめの資格は下記の通りです。
ファイナンシャルプランニング技能士(FP)
ファイナンシャルプランニング技能士(FP)は、厚生労働大臣が指定した試験機関(一般社団法人金融財政事情研究会、特定非営利活動法人日本FP協会)が実施する国家資格です。
具体的には、顧客の資産に応じた貯蓄、投資、保険などのプランを立案・サポートする資格で、金融や税金、保険、不動産、年金など、家計に関わる幅広い知識が求められます。等級は1級から3級まであり、学科と実技試験に合格すると「技能士」を名乗れます。
資格取得を通じて習得できる知識やスキルは、金融、保険、不動産などの業務に直結するため、家計相談やライフプラン設計、資産運用アドバイスなどを行う副業に役立ちます。
クラウドソーシングでのマネー系記事の執筆や、セミナー講師、相談業務などにも生かせるので、工夫次第で幅広く活躍できるでしょう
税理士
税理士は、個人や企業の申告・納税をサポートする国家資格で、「税務の代理業務」や「税務相談」「税務書類の作成」を独占的に行える専門職です。受験科目は会計学科目(簿記論・財務諸表論)と税法科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法など)で構成され、税法科目には大学での履修や簿記上級資格、実務経験などの受験資格が設けられています。
確定申告のサポート、会計帳簿の作成支援などの副業を行う場合は税理士資格が必要ですが、個人事業主や中小企業を対象にした税務サポートは需要が高く、安定した収入源となるでしょう。税理士としての知見を生かして、執筆活動やセミナー講師を務めるなど、副業の幅を広げられるのも大きな強みです。
出典:東京税理士会「税理士の使命」・東京税理士会「税理士になるには」
日商簿記(2級以上)
日商簿記は日本商工会議所が実施する資格で、企業の経営活動を記録・計算・整理し、経営成績と財政状態を管理するための知識・技能を証明できます。
副業で役立つのは2級以上で、対策学習を通じて、財務諸表を読み解き経営状況を分析する力を身につけられます。難易度は級によって大きく異なり、2級は高度な商業簿記や工業簿記を含む中級レベル、1級は会計学や企業会計法規を踏まえた上級レベルで、合格率も低い難関資格です。
資格取得後は、クラウドソーシングを通じた経理代行や帳簿作成、会計資料の整理などの副業で活躍できます。投資や資産運用に役立つ財務分析力が養われるため、自身の資産管理にも役立つでしょう。
1級取得者は税理士試験の受験資格を得られるため、将来的にキャリアアップを図りたい方にとっても有益な資格です。
出典:日本商工会議所「簿記」
日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)は、金融・投資の専門知識を持つプロフェッショナルとして認定される資格です。資格取得にあたっては、企業財務、経済、資本市場、金融商品、ファイナンス理論などの幅広い知識が問われるため、合格には長期的な学習が欠かせません。
金融業界での実務経験を前提とするケースも多いため、実務家向けの専門資格として位置づけられています。
CMAは金融・投資の副業で専門性を発揮し、収益性を高めたい方にとって強力な武器となります。投資分析や企業の財務アドバイザー、投資戦略立案などの副業に携わりたい方にはおすすめの資格といえるでしょう。
出典:日本証券アナリスト協会「CMAとは」・日本証券アナリスト協会「資格・教育体系」
コンサル・ビジネス系の副業におすすめの資格

コンサルティングやビジネス支援の副業では、専門知識や実務経験を証明できる資格が大きな強みになります。コンサル・ビジネス関連の資格はキャリア相談や労務管理、マーケティング支援など多様な分野で活用でき、案件獲得の幅も広がるでしょう。おすすめの資格は以下の通りです。
キャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントは、働く人の職業選択やキャリア形成を支援する国家資格です。資格を得るには、所定の要件(キャリアコンサルティング技能検定の合格、厚生労働大臣が認定する養成講座の修了など)を満たした上で、学科試験と実技試験に合格しなければなりません。なお、合格後は国の名簿に登録することで、「キャリアコンサルタント」を名乗れます。
難易度は中級程度とされ、試験ではキャリアコンサルティングの社会的意義やキャリアコンサルティングの理論と技能、関係法令などに関する幅広い知識が問われます。
取得すれば、人材育成コンサルティング、キャリア相談サービス、研修講師など、多くの副業に活用できることから、資格に対する注目度は年々高まっています。相談業務を行う場合は、国家資格を有していることが、依頼主や相談者からの信頼につながるでしょう。
出典:特定非営利活動法人 キャリアコンサルティング協議会「キャリアコンサルティングに関わる資格を取得しましょう!」
社会保険労務士(社労士)
社会保険労務士(社労士)は、労働保険・社会保険に関する手続きや、企業の人事・労務管理に関する相談業務を行うための国家資格です。労働保険・社会保険の手続き代行や、労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成は、社会保険労務士の独占業務であり、他の職種が行うことはできません。
資格取得の難易度は高く、労働法や社会保険、年金に関する法律など10科目にわたる幅広い知識が求められます。そのため長期的な学習計画が必要であり、資格取得後も継続的な知識更新が欠かせません。
中小企業や個人事業主を対象にした労務管理のアドバイスは需要が高く、そうした副業に携わることで、企業の健全な運営や労使関係の改善に貢献できるでしょう。副業を通じて獲得した信頼性をもとに、独立開業につなげられるのも大きな魅力です。
マーケティング検定
日本マーケティング協会が実施するマーケティング検定は、マーケティングの知識と能力を証明するための民間資格です。試験は3つのレベルに分かれており、マーケティングの基礎概念を習得する初級、幅広い知識と応用力を測る中級、マーケティング課題に対応するための総合力を評価する上級があります。
合格後は、マーケティングリサーチ、広報、広告運用、コンサルティング業務などの副業に資格を活用できます。マーケティングについての知識やスキルを客観的に示せるため、クライアントからの信頼度が増し、案件獲得や報酬アップにつながる可能性もあるでしょう。
出典:日本マーケティング協会「マーケティング力を証明する公的資格 マーケティング検定」
副業で安全に稼げる資格の選び方
副業のために資格を取得する際は、目先の案件獲得だけでなく、中長期的にどのように生かせるかを見極めることが大切です。本業にも応用できるか、他の資格保持者と差別化が図れるか、将来的に安定して生かせるかなどの視点から、自分に合った資格を選びましょう。
ここでは、資格選びの3つの視点について具体的に解説します。資格取得を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
副業だけでなく本業でも活用できるか
副業だけでなく本業にも生かせるかどうかは、資格を選ぶ際の大きなポイントです。本業に関連する資格を取得すれば、日々の業務の幅が広がり、昇進や給与アップにつながる可能性があります。
また、資格取得にかかる時間や費用は決して少なくないため、本業と副業の両方に役立つ資格を選ぶほうが、投資効果も上がります。将来的に独立や転職を考えている場合も、キャリアの選択肢を広げやすくなるでしょう。
同業者との差別化につながるか
副業で安定的に収入を得るには、同業者との差別化が欠かせません。資格選びでは、自分のスキルや経験と、取得した資格が組み合わさることで、他の人にはない独自性を打ち出せるかにも、しっかり目を向けましょう。
差別化できる資格は、案件獲得率や報酬単価に直結するほか、「専門性の高さ」として評価されやすくなります。競合が多い副業で安定して稼ぐためには、資格の活用方法まで戦略的に考えることが大切です。
将来的に役に立つか
資格取得にあたっては、短期的な収益だけでなく、将来の活用可能性についても考慮してください。資格の中には定期更新が必要なものや、社会情勢の変化で需要が減るものもあります。一方で、士業やIT関連資格のように長期的な価値が見込めるものは、数年先も安定して生かせるはずです。
そうしたことから、資格を選ぶ際は「5年後、10年後にこの資格でどのような働き方ができるか」をイメージすることが大事です。長期的な視点を持つことで、資格学習への投資を無駄にせず、理想のキャリア形成につなげましょう。
まとめ
副業を行うにあたっては、資格が必須というわけではありません。しかし、信頼性や専門性を高めたいときには、資格が強い武器になります。本業と副業の両方に生かせる資格や、将来的にも需要が見込まれる分野の資格を選べば、長期的なキャリア形成にもつながるでしょう。
そのため、資格取得を目指す際は、短期的な収入アップだけでなく、将来の活用可能性まで考えて選ぶのが得策です。本記事を参考にして、自分の目標やライフプランに合った資格を取得しましょう。
※当記事は2025年8月時点の情報をもとに作成しています