
中小企業診断士の資格に興味を持ったとき、まず気になるのが受験資格ではないでしょうか。「学歴や年齢に制限はある?」「実務経験は必要?」といった疑問を抱く方も多いはずです。
この記事では、中小企業診断士試験の受験資格を中心に、試験科目や科目免除制度、合格基準などについても分かりやすく説明します。記事を読めば、中小企業診断士試験に向けた最初の一歩をしっかりと踏み出すことができるでしょう。
- 中小企業診断士試験の受験資格とは
- 中小企業診断士の試験概要
- 中小企業診断士試験の科目免除制度
- 中小企業診断士試験の合格基準と合格率
- 中小企業診断士資格取得のメリット
- 中小企業診断士の受験資格はない。取得を目指してみよう
中小企業診断士試験の受験資格とは
中小企業診断士の資格を目指すなら、まず受験資格を確認することが欠かせません。ここでは、中小企業診断士試験の受験資格について、第1次試験と第2次試験に分けて詳しく解説します。
第1次試験の受験資格
中小企業診断士の第1次試験では、特定の受験資格はありません。学歴や年齢、実務経験などに関係なく誰でも受験可能です。
試験科目となっている経済学や経営論、法務などを学んだ経験がある人や、経営分析の仕事経験がある人などは有利になる可能性はありますが、受験資格としては学歴も実務経験も問われません。
また年齢制限もなく、実際に20歳未満からシニアまで幅広い年代の人が中小企業診断士試験を受験しています。若い世代のキャリア形成にも、熟年者のキャリア再構築にも、この試験が役立てられていると言えるでしょう。
第2次筆記試験の受験資格
中小企業診断士の第2次試験は、筆記試験と口述試験で構成されています。まず、2次の筆記試験を受ける資格があるのは、当年度と前年度の第1次試験に合格した人です。
なお、平成12年度以前に第1次試験に合格した人も、第1次試験を免除され第2次試験を受けることができます(1回のみ。期間の定めなし)。
第2次口述試験の受験資格
口述試験は、2次の筆記試験に合格した人が挑戦できる試験です。
第1次試験を突破したうえで、第2次筆記試験で相当の成績を修めなければ、口述試験を受けることはできません。中小企業診断士の口述試験に進めるのは限られた人だけだと言えます。
中小企業診断士の試験概要
中小企業診断士の資格取得を考えるなら、受験資格に加えて、試験日程や試験科目、申込方法などについて知ることも欠かせません。ここでは、中小企業診断士試験の基本情報をお伝えします。
試験日程
中小企業診断士試験が実施されるのは、例年、第1次試験が8月上旬、第2次の筆記試験が10月下旬、口述試験が1月下旬です。具体的な日程は、4月頃に中小企業庁のウェブサイトで発表されます。
2025(令和7)年度の試験日程は以下のとおりです。
- 第1次試験:2025年8月2日・3日
- 第2次筆記試験:2025年10月26日
- 第2次口述試験:2026年1月25日
試験科目・試験方法
第1次試験と第2次試験それぞれの試験科目と、試験方法について説明します。
第1次試験の試験科目・試験方法
第1次試験はマークシート方式による多肢選択式で行われます。試験科目は、以下の7科目です。
- 経済学・経済政策
- 財務・会計
- 企業経営理論
- 運営管理(オペレーション・マネジメント)
- 経営法務
- 経営情報システム
- 中小企業経営・中小企業政策
経済や企業経営に関する幅広い知識が問われるのが、中小企業診断士試験の特徴だと言えるでしょう。試験時間は科目によって異なり、60分または90分となります。
第2次筆記試験の試験科目・試験方法
第2次の筆記試験は、短答式・論文式で行われます。中小企業の診断及び助言に関する実務の事例について出題され、以下の4事例が試験科目となります。試験時間は、各事例とも80分です。
- 組織・人事
- マーケティング・流通
- 生産・技術
- 財務・会計
筆記試験では、実際の経営課題を解決する能力を測るために、具体的かつ実践的な内容が出題されます。経営計画の立案力、問題解決力、実際のビジネスケースにおける対応力のほか、回答内容を論理的に構築する力も問われるのが特徴です。
第2次口述試験の試験科目・試験方法
口述試験は、試験官2~3人対受験生1人の面接方式で行われます。試験時間は10分です。
口述試験では、第2次の筆記試験で出題された事例問題について、異なる角度から質問が出されます。実際の経営診断を行う際のアプローチや判断能力を測るため、深い知識と実践力が問われます。
知識はもちろんのこと、自分の考えを明確に伝える能力も重視されるでしょう。
試験地区
中小企業診断士試験は、第1次試験が全国10地区、第2次試験が全国7地区で実施されます。具体的な実施地区はこちらです。
- 第1次試験:札幌、仙台、東京、名古屋、金沢、大阪、広島、松山、福岡、那覇
- 第2次試験:札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡
受験者は、申込時に希望の受験地区を1つ選択することが可能です。当日の試験会場は、受験票に記載されますので、必ず確認しましょう。
なお、同地区内に複数の試験会場が設けられる場合もありますが、受験票で指定された試験会場以外での受験はできません。
申込方法
中小企業診断士試験の申し込みは、指定された受付期間内にオンラインで行います。2025(令和7)年度の受付期間は次のとおりです。
- 第1次試験:2025年4月24日~5月28日
- 第2次試験:2025年9月2日~9月22日
一般社団法人日本中小企業診断士協会連合会の公式サイト(https://www.jf-cmca.jp/index.html)から申し込み専用ページにアクセスできますので、そちらから申し込み決済も済ませる必要があります。
特に注意すべき点は、申込期限を厳守することと、書類に不備がないか事前に確認することです。不備があると申し込みが受理されませんので、準備をしっかり行いましょう。
中小企業診断士試験の科目免除制度

中小企業診断士試験については、受験資格に加えて、2種類ある試験科目免除制度のこともぜひ知っておきましょう。受験申込の際に科目免除の申請手続きを行えば、効率的に資格取得を目指すことができます。ここでは、その詳細な条件を説明しましょう。
科目合格による試験科目免除
科目免除制度の1つ目は、科目合格による免除です。前年度または前々年度の第1次試験で科目合格した場合、その科目の受験が免除されます。
前々年度にまでさかのぼって科目合格の実績を生かせるので、複数年にわたって中小企業診断士試験に挑戦する人にとって便利な制度だと言えるでしょう。
他資格などの保有による試験科目免除
もう1つの科目免除制度は、他の資格などを保有していることによる免除です。経営に関連する特定の資格を取得済みの場合、資格に応じて第1次試験科目の一部が免除されます。
例えば、公認会計士や税理士であれば「財務・会計」が、弁護士であれば「経営法務」の受験が免除されます。この制度を利用すれば、自分の強みを生かしながら中小企業診断士試験に挑めるでしょう。
中小企業診断士試験の合格基準と合格率
中小企業診断士試験の受験資格だけでなく、合格基準や合格率が気になる人も多いはずです。ここでは、第1次試験と第2次試験それぞれについて、過去の合格率や合格基準を具体的に解説します。
第1次試験の合格基準と合格率
中小企業診断士第1次試験の合格基準は、総点数の60%以上を取得すること、かつ1科目も満点の40%を下回らないことです。極端に苦手な科目があると合格できない仕組みになっています。
また、第1次試験では科目合格制度が導入されています。その基準は、満点の60%を取ることです。
第1次試験の合格率は、およそ30%程度です。以下に過去5年間の合格率をまとめましたので、参考にしてください。
| 年度 | 合格率 |
|---|---|
| 2020年度 | 42.5% |
| 2021年度 | 36.4% |
| 2022年度 | 28.9% |
| 2023年度 | 29.6% |
| 2024年度 | 27.5% |
出典:「中小企業診断士試験 申込者数・合格率等の推移」一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会
第2次試験の合格基準と合格率
中小企業診断士第2次筆記試験の合格基準は、総点数の60%以上を取得すること、かつ1科目も満点の40%を下回らないことです。また、筆記試験をクリアした後の口述試験に合格するには、60%以上の評定を取得する必要があります。
第2次試験の合格率は、20%弱程度で推移しています。こちらが、過去5年間の合格率です。
| 年度 | 合格率 |
|---|---|
| 2020年度 | 18.4% |
| 2021年度 | 18.3% |
| 2022年度 | 18.7% |
| 2023年度 | 18.9% |
| 2024年度 | 18.7% |
出典:「中小企業診断士試験 申込者数・合格率等の推移」一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会
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中小企業診断士資格取得のメリット

中小企業診断士は第1次試験の受験資格がなく、幅広い人に受験のチャンスが開かれている資格です。ではこの資格を取得した先にはどのようなメリットがあるのか、具体的に見ていきましょう。
職場での評価が高まる
中小企業診断士の資格取得により、企業経営に必要な知識全般を習得した人として認められ、企業内での評価が向上することが期待できるでしょう。資格取得を通じて得た知識が実務で役立ち、仕事能力が上がることも高評価につながります。
資格を武器に、企業内の経営企画部門で働けるようになるほか、新規事業へ参画する機会にも恵まれる可能性があります。経営戦略の立案や実行に携われる人材として、将来の幹部候補になる道も開かれるでしょう。
多様なキャリアパスが開かれる
中小企業診断士の資格は転職や独立においても有利に働き、キャリアの選択肢を広げるのに役立ちます。
例えば、資格取得後にコンサルティングファームへ転職し、経営コンサルタントとして中小企業を支援したり、独立してコンサルタント会社を立ち上げ、クライアント企業の顧問としてコンサルティングを行ったりすることも可能になるでしょう。
多くの経営者や他の中小企業診断士と交流して人脈を増やせば、仕事の幅をさらに広げていくこともできます。
また、資格を生かして大学や専門学校、企業研修などで講師として教える道も開かれます。資格予備校などで中小企業診断士講座の講師になったり、教材開発に携わったりすることも可能です。
中小企業診断士の受験資格はない。取得を目指してみよう
中小企業診断士は受験資格に制限がなく、誰でも挑戦できる資格です。合格率は決して高くありませんが、転職や独立に生かしやすい資格であり、取得後にはキャリアアップを実現できる可能性が高まります。
受験を検討している方は、試験科目や申込方法などについても正確に把握し、早めに準備を始めることが合格への第一歩です。ぜひ計画的に学習に取り組み、資格取得を目指してみましょう。
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