中小企業診断士は本当に役に立たない?その理由と資格取得のメリットを解説

中小企業診断士は本当に役に立たない? その理由と資格取得のメリットを解説

中小企業診断士の資格取得を検討している方のなかには、「中小企業診断士は役に立たない」という噂を聞いて不安な方もいるのではないでしょうか。経営コンサルタントとして唯一の国家資格であるにもかかわらず、なぜ中小企業診断士は役に立たないと言われるのか、疑問に思う方もいるでしょう。

ですが中小企業診断士は、実際は取得のメリットがある、役に立つ資格です。

この記事では、中小企業診断士が役に立たないと言われる理由と、取得のメリットや資格を生かした仕事の例について解説します。中小企業診断士はどのような人におすすめかも説明しますので、資格取得を目指すかどうかで悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

中小企業診断士が「役に立たない」と言われる理由

中小企業診断士が「役に立たない」と言われる理由を3つピックアップして紹介します。それぞれ詳しく見ていきましょう。

業務独占資格ではないから

中小企業診断士が役に立たないと言われる理由の一つは、業務独占資格ではないからです。業務独占資格とは、有資格者以外が行うことを禁止された業務を独占的に行える資格のこと。つまり、中小企業診断士でなければできない業務はないということです。

中小企業診断士は、中小企業への経営コンサルティングを行う専門家としての国家資格ですが、この仕事をするうえでの必須資格ではありません。そのため、中小企業診断士は役に立たない資格だと言われることがあるのです。

資格が高収入に直結するとは限らないから

資格を取得したからといって必ずしも良い収入につながるとは限らないことも、中小企業診断士が役に立たないと言われる理由です。資格取得によって特定の業務が行えるようになるわけではなく、仕事が安定しない可能性があるからです。

とはいえ、中小企業診断士として高収入を得ることは不可能ではありません。ただしそれには、顧客を獲得するための営業力を磨いたり、自身の専門分野を明確にしたうえで実績を作ったりする努力が不可欠。中小企業診断士の資格を取るだけですぐに稼げるわけではないのです。

資格取得後のキャリアパスが分かりにくいから

資格をキャリアにつなげる方法が見えにくい場合があることも、「中小企業診断士は役に立たないのでは?」と言われる理由の一つです。

中小企業診断士のキャリアパスは、企業内診断士として活動する道や、経営コンサルタントとして独立する道、講師業に携わる道などさまざま。選択肢が多いため、中小企業診断士は資格取得後のキャリアパスが明確でないと思われることがあるのです。

このように、資格の生かし方・役立て方が分かりにくいことが、中小企業診断士資格の有用性が見えにくいという評価につながると考えられます。

中小企業診断士は役に立つ資格だと言える理由

中小企業診断士は役に立たないと言われることもあるものの、実際は取得のメリットがある資格です。ここからは、中小企業診断士の資格は役に立つと言える理由を詳しく紹介していきましょう。

深い経営知識が身に付くから

経営に関する深い知識を得られることは、中小企業診断士資格を取得する大きなメリットです。

中小企業診断士の役割は、経営の診断や助言を通して、中小企業の経営改善や成長を支援すること。試験では、その役割を担うのに必要な知識が問われます。具体的には、経済学・経済政策、財務・会計、企業経営理論、経営法務などの7科目にわたる幅広い知識が求められるのです。

中小企業診断士の資格取得を通じて身に付く知識は、経営コンサルタントとして独立する場合にはもちろん、企業内でも役立つものです。限られた場面だけでなくさまざまな場で活用できる知識が身に付くので、中小企業診断士は役に立つ資格だと言えるでしょう。

ビジネス上の人脈が広がるから

多くの社長・経営層人材と知り合う機会が増えるのも、中小企業診断士の資格を取得するメリットです。勉強会やセミナーなどで他の中小企業診断士と交流したり、業務を通じて他士業の人と関わったりする機会が得られるのも見逃せません。

人脈が増えれば、自身の視野が広がるだけでなく、新たなビジネスチャンスをつかめる可能性も高まるでしょう。人脈に加えて仕事の幅も広がることから、中小企業診断士の資格は役に立つと言えます。

キャリアアップにつながるから

中小企業診断士は、キャリアアップに役立つ資格です。資格を取得すると、企業経営全般の知識を習得した人として認められ、経営企画部門で働けるようになったり、マネジメント人材に抜擢されたりする可能性が高まります。

また、中小企業診断士は国家資格であるため、取得すれば自身の社会的信頼性を高められる点も魅力でしょう。資格を武器にコンサルタントとして独立する道を選ぶことも可能であり、キャリアの選択肢を広げるのに役立つ資格だと言えます。

AIに代替されないから

中小企業診断士の業務はAIによる代替が難しいと言われている点も、この資格を取得しておくことのメリットだと言えます。

例えば、経営戦略の策定について適切なアドバイスを行うには、経営者や従業員との対話を通じ、企業が抱える課題や悩みを引き出すことが重要です。組織内の人間関係の微妙なニュアンスを理解することが必要になる場合もあるでしょう。

こうしたコミュニケーションスキルや洞察力は、人間ならではの力だと言えます。そのため、AIの進歩があっても、中小企業診断士資格の価値は失われないと考えられているのです。

中小企業診断士資格が役立つ仕事の例

中小企業診断士の資格取得のメリット

一部で役に立たないと言われることもある中小企業診断士ですが、さまざまな仕事において有用な資格です。ここからは、中小企業診断士の仕事内容を具体的に説明します。

企業の内部コンサルティング業務

中小企業診断士の多くは、企業内診断士として働きます。企業内診断士とは、中小企業診断士の資格を生かしながら会社に所属して働く人のことで、内部コンサルティング業務を担い、企業の経営改善・業績向上に寄与する存在です。

例えば、企業内診断士は、経営企画部門で経営戦略の策定や新規事業の立ち上げ支援、マーケット調査、競合分析などを行います。ほかには、営業などのさまざまな部門で、業務プロセスの改善に携わることも。企業内診断士は、社内でリーダーシップを発揮する場面も多くあります。

公的業務としての地域経済振興・中小企業支援

中小企業診断士の仕事には、公的業務というものもあります。公的業務とは、地方自治体や商工会議所、中小企業支援センターなどの公的機関からの委託を受け、地域経済振興のために、中小企業に対し経営支援や事業計画の策定支援などをすることです。

例えば、中小企業診断士は、公的機関の窓口で中小企業経営者からの経営相談に応じたり、直接企業を訪問して診断・助言を行ったりします。また、行政の施策を企業に伝え、それを企業が適切に活用できるようにするためのアドバイスも行います。

独立診断士としてのコンサルティング業務

中小企業診断士のなかには、独立して働く人(独立診断士)もいます。企業と直接契約を結んでコンサルティングを行ったり、公的機関から委託された相談業務や経営診断業務を行ったりするのが、独立診断士の主な仕事です。

独立の仕方は、企業内診断士として経験を積んでから独立するケースや、専門分野に特化したサービスを武器に独立するケースなどさまざま。他士業の資格やビジネス系資格を併せて取得し、対応可能な業務の幅を広げたうえで独立する人もいます。

ダブルライセンスによる専門性の高い業務

中小企業診断士の仕事の仕方には、他の資格を併せて取得し、より広い分野でコンサルティングを行うというやり方もあります。特に独立診断士の場合、他の中小企業診断士との差別化を図るうえで、ダブルライセンスは有効な選択肢の一つです。

例えば、IT関連の資格と組み合わせることで、IT領域における経営戦略の提案ができる中小企業診断士として活躍できます。社会保険労務士と組み合わせれば、企業に対して人事労務の観点からもコンサルティングを行えるようになるでしょう。

中小企業診断士の資格取得がおすすめの人

中小企業診断士は、以下で紹介する人にとっては役に立たないどころか、取得の価値が高い資格です。詳しく解説しましょう。

経営に携わりたい人

中小企業診断士の資格は、経営に携わりたい人にとって最適です。

資格取得を通じて経営に関する深い知識を習得できるだけでなく、資格取得後には、さまざまな企業の経営課題に経営者の視点で思う存分取り組むことができます。経営に関心がある人にとっては、とても魅力的な資格でしょう。

起業したい人

コンサルタントとして独立開業したい人に加えて、起業したい人や経営者になりたい人にとっても、中小企業診断士の資格は非常に有効です。資格取得によって身に付く経営全般の知識は、自分でビジネスを立ち上げて運営する際に大いに役立ちます。

中小企業診断士として経験を積めば、信頼性の高い事業計画を立てる能力を養うことも可能です。また、他の中小企業診断士との人脈を築くことで、ビジネスに役立つ質の高いアドバイスや支援を受ける機会にも恵まれるでしょう。

コンサルティング業界に転職したい人

中小企業診断士の資格取得は、コンサルティング業界への転職を希望する方にもおすすめです。資格取得により、知識だけでなく経営分析・課題解決のスキルも身に付くため、資格を持つ人は、説得力のあるコンサルティングが行える人材として業界内で高く評価されます。

中小企業診断士の資格取得までの流れ

中小企業診断士の資格取得を検討している方は、資格の有用性だけでなく、資格取得の流れもしっかりと把握しましょう。

中小企業診断士を目指す人は、まず第1次試験を受験することが必要です。第1次試験は、マークシート方式による多肢選択式の試験で、経営に関する幅広い知識を問うものとなっています。

第1次試験に合格した人は、第2次試験に進みます。第2次試験は実務的な能力を評価するもので、筆記試験と口述試験があり、まず行われるのが短答式・論文式による筆記試験です。筆記試験合格者のみ、面接式の口述試験へと進めます。

第2次の口述試験に合格した人は、合格後3年以内に15日以上、実務補習を受講するか実務に従事することで、中小企業診断士としての登録ができます。ここまでが、中小企業診断士資格取得までの流れです。

なお、第1次試験合格後に、中小企業基盤整備機構か登録養成機関による養成課程を修了したうえで、登録申請を行うという道もあります。

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中小企業診断士は役に立つ資格。取得を目指してみよう

中小企業診断士の資格は役に立たないと言われることもありますが、経営に関する深い知識と、経営課題に対して適切にアドバイスできる能力を証明する、信頼性の高い資格です。

資格取得後は、企業内診断士として会社の経営戦略策定や業務改善に取り組んだり、公的業務を通じて地域経済の活性化に貢献したり、独立診断士として契約企業にコンサルティングを行ったりと、さまざまな活躍ができます。

特に、経営に携わりたい人や起業を目指す人、コンサルティング業界への転職を目指す人にとって、この資格は強力な武器となります。企業経営への関心が高い方は、ぜひ取得を検討してみてはいかがでしょうか。

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