中小企業診断士の難易度はどれくらい?合格率と必要な勉強時間も解説

中小企業診断士は、経営コンサルタントとして中小企業支援を行うための国家資格です。キャリアアップやスキル向上を目指すビジネスパーソンに人気がある一方で、難易度の高い資格として知られています。

そんな中小企業診断士について、なかには「難関資格だとは聞くけれど、実際どの程度難しいのだろう」「合格できる確率はどのぐらいなのだろう」と疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。

この記事では、中小企業診断士試験の難易度や合格率の実態などについて詳しく解説します。受験を検討している方にとって役立つ内容となっていますので、ぜひ参考にしてください。

中小企業診断士試験の難易度

中小企業診断士の試験は第1次試験と第2次試験に分かれており、いずれも難易度が高いものです。ここでは、それぞれの試験の内容を踏まえ、難易度について説明しましょう。

第1次試験の難易度

中小企業診断士の第1次試験は、マークシート方式による多肢選択式で行われ、以下の7科目で構成されています。

  • 経済学・経済政策
  • 財務・会計
  • 企業経営理論
  • 運営管理(オペレーション・マネジメント)
  • 経営法務
  • 経営情報システム
  • 中小企業経営・中小企業政策

試験範囲が広く、科目によって受験者の得意・不得意が分かれやすいのが、この試験の特徴です。

例えば、出題の切り口が多様で応用力も問われる「企業経営理論」は、経営企画や事業計画に携わった経験がない人には難しく感じられるかもしれません。また「財務・会計」は、経理の実務経験がない人や数字が苦手な人にとってハードルが高い科目だと言えます。

第1次試験の合格基準は、総点数の60%以上を取得すること、かつ満点の40%を下回る科目がないことです。

科目数の多さに加え、この基準により一つでも苦手科目があると合格が遠のくおそれがあることからも、第1次試験の難易度は高いと言えるでしょう。

第2次試験の難易度

中小企業診断士の第2次試験は、筆記試験と口述試験で構成されています。筆記試験は短答式・論文式で行われ、試験科目は以下の4事例です。

  • 組織・人事
  • マーケティング・流通
  • 生産・技術
  • 財務・会計

筆記試験の内容は、モデル企業の事例について課題を抽出し解決策を導き、論述形式で回答するというものです。理論を実際のケースに応用できる能力が求められます。

この試験で問われる分析力や問題解決能力、記述力は、短期間で伸ばせるものではありません。総合的な力が必要となるのが、2次の筆記試験の難しいところだと言えます。

また、筆記試験合格者対象の口述試験は面接方式で行われ、筆記試験の事例問題について異なる角度から質問が出されます。口述試験ではコミュニケーション能力が重視されるため、これまでの紙面上での試験とは違った難しさがあると言えるでしょう。

筆記試験の合格基準は、総点数の60%以上を取得すること、かつ1科目も満点の40%を下回らないこと。点数に極端な偏りがあると、合格できないおそれがあるため注意が必要です。そして口述試験の合格には、60%以上の評定が必要となります。

中小企業診断士試験の合格率

中小企業診断士試験の難易度の高さは、合格率からもよく分かります。ここからは、第1次、第2次試験の実際の合格率を見ていきましょう。

第1次試験の合格率

第1次試験の合格率は、過去5年間の平均で約33%です。合格率は年度によってばらつきがあり、20%台後半~40%台前半を推移しています。

年度 合格率
2020年度 42.5%
2021年度 36.4%
2022年度 28.9%
2023年度 29.6%
2024年度 27.5%

出典:「中小企業診断士試験 申込者数・合格率等の推移」一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会

第1次試験に合格できるのは、3人中約1人にとどまる計算となります。難易度の高さがよく表れていると言えるでしょう。

第2次試験の合格率

第2次試験の合格率は第1次試験よりさらに低く、過去5年間平均で約19%です。年度による合格率のばらつきは、第1次試験に比べて少なくなっています。

年度 合格率
2020年度 18.4%
2021年度 18.3%
2022年度 18.7%
2023年度 18.9%
2024年度 18.7%

出典:「中小企業診断士試験 申込者数・合格率等の推移」一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会

1次+2次のストレート合格率

第1次試験を突破し、そのまま第2次試験にも一発で合格する確率を計算してみると、次のとおりとなります。

「第1次試験合格率 約33%」×「第2次試験合格率 約19%」=「ストレート合格率 約6%」

年度別で見ると、ストレート合格率は約5~8%の間で推移しています。

年度 ストレート合格率
2020年度 7.8%
2021年度 6.7%
2022年度 5.4%
2023年度 5.6%
2024年度 5.1%

「中小企業診断士試験 申込者数・合格率等の推移」一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会をもとに編集部で計算

この数字から分かるように、中小企業診断士に一発で合格するのは非常に難しいことです。そのため実際は、多くの受験生が科目合格制度などを利用し、複数年かけて合格を目指しています。

中小企業診断士の難易度を他の資格と比較

中小企業診断士の難易度を他の資格と比較

中小企業診断士の難易度は、ほかの資格と比べてどうなのか気になる方もいるはずです。

そこで、合格率と必要な勉強時間の長さを軸に、ほかの資格と中小企業診断士の難易度を比較してみましょう。ここでは、中小企業診断士と同じ士業と呼ばれる資格と人気資格から、5つをピックアップして比べます。

資格名 合格率(2024年度) 勉強時間の目安
中小企業診断士 5.1% 1,000時間
社会保険労務士 6.9% 800~1,000時間
公認会計士 7.4% 3,000~5,000時間
行政書士 12.9% 800~1,000時間
FP技能士1級 学科15.95%、実技88.21%(※) 500~600時間
税理士 16.6% 3,000~4,000時間

※金融財政事情研究会2024年9月実施試験

試験範囲の広さや内容はそれぞれ全く異なるので、合格率や勉強時間だけを見て、難易度の高さを一概に評価することは難しいかもしれません。「気になるあの資格と比べて、中小企業診断士の難易度はどうなんだろう?」と思ったときの目安として、ぜひ参考にしてみてください。

中小企業診断士資格取得のメリット

中小企業診断士は難易度の高い資格ですが、挑戦し合格を勝ち取った先には、大きなメリットを得ることができます。そのメリットとはどのようなものか、見ていきましょう。

キャリアアップに役立つ

中小企業診断士の資格取得は、ビジネスパーソンのキャリアアップに直結します。

企業内では、経営全般の知識を習得した人として高く評価され、重要なプロジェクトへの参加や、経営企画・コンサルティング部門への異動といったチャンスが広がるでしょう。経営視点を持つ人材として、昇進・昇格できる可能性も高まります。

さらに、中小企業診断士の資格は、転職活動の強力な武器にもなります。例えば、異業種からコンサルティングファームへの転職を目指す際に、資格があると有利でしょう。また、資格取得により、経営コンサルタントとして独立する道も開けます。

将来性がある

中小企業診断士は、将来性が期待できる資格でもあります。

まず、日本の全企業のうち中小企業が占める割合は99.7%です。中小企業診断士の支援対象となる企業数が非常に多いことを踏まえると、有資格者が活躍できるフィールドはかなり広いと言えるでしょう。

そして、経営環境の変化や新しいビジネストレンドへの対応が求められるなか、中小企業が専門的な経営アドバイスを必要とする場面は増えてきています。こうした背景から、中小企業診断士のニーズは今後も高まると予想されるのです。

もちろん、資格を取得しただけで将来が保証されるとは限りません。幅広い実務経験を積みつつ、関係者との信頼関係を築き、時代に合った知識やスキルを磨くことで、長期的に活躍し続けられる人材へと成長できると言えるでしょう。

中小企業診断士合格に向けた勉強のポイント

中小企業診断士は難易度が高く、合格するには相応の努力と時間が求められます。だからこそ、効率的に勉強するための工夫が欠かせません。ここでは、努力を成果につなげるために押さえておきたいポイントをご紹介します。

予備校or独学? 自分に合った勉強方法を選ぶ

中小企業診断士資格を取得するための勉強法には、資格予備校での学習と独学があります。それぞれのメリットとデメリットを理解したうえで、自分に合った方法を選びましょう。

予備校では、体系的なカリキュラムが用意され、講師の指導を受けながら効率的に学べます。一方で費用がかかることや、授業日程が固定され時間的な制約を受けやすい点がデメリットです。

独学では、時間の自由度が高く自分のペースで学習を進められます。しかし、情報収集や教材選びに時間がかかる、わからないことを質問する相手が見つかりにくいなどの難点があります。

自分に合わない方法を選ぶと、合格までの道のりが遠のくおそれもあります。生活スタイルや学び方の好みを考慮し、自分に最適な方法を見極めましょう。

勉強時間をコンスタントに確保する

中小企業診断士に合格するには、1,000時間もの勉強時間が必要だと言われています。忙しい社会人にとって、この時間を確保することは簡単ではないでしょう。

そこで必要になるのが、日常生活の中に勉強時間を組み込む工夫です。1日のスケジュールを見直して無駄な過ごし方をしている時間を勉強に回したり、通勤時間や昼休みなどを利用したりして、少しでも勉強時間を確保しましょう。

また、限られた時間で質の良い学習をするには、集中力の維持も欠かせません。例えば、適度に休憩を取る、専用の勉強スペースを用意する、家族の協力を仰ぎ一定の時間は勉強に集中させてもらうなどの工夫が考えられますね。ぜひ、勉強時間を着実に積み重ねるための対策を取ってみてください。

中小企業診断士の資格取得に向けた一歩を踏み出そう

中小企業診断士は、難易度が高いことで知られる資格です。合格までの道のりは楽なものではありませんが、取得すればキャリアアップを実現できます。

この記事を読んで中小企業診断士に関心を持った方は、合格後のキャリアパスを思い描くとともに、まず自分に合った勉強法を選び、勉強時間を確保することから始めてみてください。ぜひここから、資格取得に向けた一歩を踏み出しましょう。

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