
「宅建士と行政書士のダブルライセンス」という選択肢に関心はあるものの、両方の資格を取得することで得られる具体的なメリットまでは把握できていない方もいるのではないでしょうか。
宅建士と行政書士はそれぞれ独立した専門資格ですが、両方を取得すれば、扱える業務が増え、活躍の場をさらに広げることができます。
この記事では、宅建士と行政書士のダブルライセンスによるメリットや、資格取得後の仕事例について詳しく解説します。 不動産や法律の分野でキャリアアップを目指している方は、ぜひ参考にしてみてください。
- 宅建士と行政書士の違い
- 宅建士と行政書士のダブルライセンスを取得するメリット
- 宅建士と行政書士の難易度・試験内容を比較
- 宅建士と行政書士のダブルライセンスが生かせる仕事
- 宅建士と行政書士のダブルライセンスでキャリアの幅を広げよう
宅建士と行政書士の違い
まずは、宅建士と行政書士のそれぞれについて、資格の特徴を説明します。取得によってどのような仕事ができるのか、詳しく見ていきましょう。
宅建士の業務内容
宅建士(宅地建物取引士)は、不動産取引において重要な役割を担うための国家資格です。宅建士は、宅地・建物の売買や賃貸物件のあっせん取引がトラブルなく円滑に行われるよう、特に以下3つの独占業務を行います。
- 重要事項の説明:契約内容や物件状況を、買主・借主へ契約前に詳しく説明する
- 重要事項説明書面(35条書面)への記名:上記の重要事項を記載した書面に、宅建士が自らの名前を書く
- 契約内容記載書面(37条書面)への記名:契約内容を記載した書面に、宅建士が自らの名前を書く
宅建士が働く主なフィールドは、不動産業界です。このほか、土地・建物が関係する金融業界や建築業界にも宅建士の活躍の場は広がっています。
▶宅建士についてはこちらの記事でも詳しく解説しています
行政書士の業務内容
行政書士とは、個人や企業の法的手続きをサポートするための国家資格です。建築や営業などの許認可申請手続き、各種契約書や法的文書の作成、相続・遺言に関する相談や文書作成、企業の定款作成など、行政書士が携わる業務は多岐にわたります。
なかでも、依頼を受けて報酬を得て、官公署に提出する書類、権利義務や事実証明に関する書類の作成を行うことは、行政書士にのみ認められた独占業務です。
行政書士の働き方は、行政書士事務所勤務か、独立開業かに分かれます。いずれの場合でも、行政手続きを専門に行う「街の法律家」として、人々の生活やビジネスを支える重要な役割を担います。
宅建士と行政書士のダブルライセンスを取得するメリット

宅建士と行政書士は、どちらか一方を取得するだけでも十分に価値がありますが、両方を取得するとさらに多くのメリットを得られます。ここでは、ダブルライセンスの具体的な利点を説明しましょう。
効率よく勉強できる
宅建士と行政書士の試験では、いずれも民法が出題されます。そのため、一方の試験勉強で習得した民法の知識を、もう一方の試験にも活用することが可能です。民法の勉強時間を短縮できるため、効率よく試験対策を進められます。
キャリアの幅が広がる
宅建士と行政書士の両方を持つことで、不動産取引と行政手続きという異なる業務をまとめて行えるようになります。知識の幅もできる仕事も増え、希少性・専門性をアピールしやすくなるため、就職・転職活動で有利になるでしょう。ダブルライセンスを生かした副業や兼業ができるのも魅力だと言えます。
独立開業できる可能性が高まる
宅建士と行政書士をダブルで取得すると、独立開業がしやすくなるメリットもあります。不動産取引から、営業の許認可申請などの行政手続きまでを含めた、総合的なサービスを提供できる点が強みとなるからです。宅建士または行政書士単独での開業に比べ、顧客の多様なニーズに応えやすく、競合との差別化も図れます。
宅建士と行政書士の難易度・試験内容を比較
宅建士と行政書士のダブルライセンスを考えるうえでは、それぞれの試験の特徴を知っておくことも大切です。ここでは、両試験の難易度と試験内容を比較してみましょう。
合格率・難易度
国家資格のなかでも難関だとされる行政書士に比べ、宅建士のほうが合格率は少し高くなっています。こちらが、両試験の過去3年間の合格率です。
| 年度 | 宅建士試験 合格率 | 行政書士試験 合格率 |
|---|---|---|
| 令和6年度 | 18.6% | 12.90% |
| 令和5年度 | 17.2% | 13.98% |
| 令和4年度 | 17.0% | 12.13% |
出典:試験実施概況(令和6年度以前の過去10年間)|一般財団法人不動産適正取引推進機構, ■最近10年間における行政書士試験結果の推移|一般財団法人行政書士試験研究センター
試験内容
宅建士と行政書士の試験内容についても、違いを把握しておきましょう。試験科目や問題数、試験形式、合格基準などを、以下の表にまとめました。
| 項目 | 宅建士試験 | 行政書士試験 |
|---|---|---|
| 試験科目 | ・民法等(権利関係) ・宅建業法 ・法令上の制限 ・税・その他 |
・憲法 ・行政法 ・民法 ・商法 ・基礎法学 ・行政書士の業務に関し必要な基礎知識 |
| 問題数 | 50問 | 60問 |
| 試験形式 | 四肢択一式 | 択一式、記述式 |
| 合格基準 | 50点満点中35点前後 | 以下のすべてを満たすこと ・法令等の科目:満点の50%以上 ・基礎知識の科目:満点の40%以上 ・試験全体:満点の60%以上 (※試験全体で300点満点) |
両試験に共通するのは、民法が試験科目に含まれている点です。一方で、宅建士試験では不動産取引に特化した知識が問われるのに対し、行政書士試験ではより幅広い法律知識が問われるという違いがあります。
▶宅建士の試験内容についてはこちらの記事でも詳しく解説しています
宅建士と行政書士のダブルライセンスが生かせる仕事

宅建士と行政書士のダブルライセンスを取得すると、複数の専門領域で幅広い業務に対応できるようになります。ここでは、その具体的な仕事内容の例を紹介しましょう。
飲食店の開業支援
宅建士と行政書士のダブルライセンスで独立開業すると、「行政手続きまで一貫して行える宅建士」として、不動産の取引から許認可申請までをトータルでカバーすることができます。
例えば、飲食店を開きたい人に対し、店舗となる物件の契約や、飲食店営業許可を得るための準備および申請手続きなどを、まとめて支援することが可能です。
相続関連の相談・手続き
宅建士と行政書士をダブルで取得し、「不動産に詳しい行政書士」として独立開業することで、相続関連の相談・手続きにおいても強みを発揮できるでしょう。
相続財産のなかに不動産が含まれるケースでは、不動産の売却を伴うことがあります。宅建士と行政書士の両資格があれば、相続の相談から売却の手続きまで一貫して対応することが可能です。
宅建業免許の申請手続き
宅建士と行政書士の両資格を取得したうえで不動産会社に勤務する場合には、宅建士としての独占業務を行えるのはもちろんのこと、行政手続きに関する専門知識を持つ社員としても活躍できます。
例えば、宅建業免許の新規申請や更新・各種届出を正しくかつスムーズに行える人材として重宝されるでしょう。
不動産関連の行政手続き
宅建士資格も兼ね備えた行政書士として行政書士事務所に勤めるケースでは、不動産分野の行政手続きで特に強みを発揮できます。
宅建士としての知識を生かし、不動産関係の契約書などを作成・チェックしたり、不動産が関わる案件の相談を受けたりすることができ、行政書士資格だけで働く場合に比べて業務の幅が広がるでしょう。
宅建士と行政書士のダブルライセンスでキャリアの幅を広げよう
宅建士と行政書士のダブルライセンスを取得することで、対応できる業務の幅が広がり、キャリアの選択肢も格段に増えます。不動産取引と行政手続きのどちらにも対応できる希少性の高い専門人材として、就職・転職市場で高く評価されるだけでなく、独立開業を含むさまざまな働き方を実現することができるでしょう。
すでにどちらかの資格を持っている方はもちろん、不動産や法律の分野に関心があり、資格を通じてキャリアアップを目指したい方にとっても、ダブルライセンスにチャレンジする価値は大きいと言えます。キャリアの可能性を広げる選択肢として、ぜひ前向きに検討してみてください。
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