
簿記2級の取得を検討している人の中には、「どのような勉強が必要なのだろう」「独学で合格できるのだろうか」などの不安や悩みを持つ人が多いかもしれません。
本記事では、日商簿記2級の効率的な勉強方法や、初心者が合格を目指す際のポイントを紹介します。2級合格に向けた勉強のコツや注意点も解説するので、これから勉強を始める人は、ぜひ参考にしてみてください。
簿記2級とは
ここでは、日商簿記2級の基本情報を紹介します。
そもそも簿記とは
簿記とは、企業の経済活動を帳簿に記録し、計算・整理して経営成績や財政状態を明らかにするための技能です。簿記を習得することによって、経理事務に必要な会計知識はもちろん、財務諸表を読む力や基礎的な経営管理能力、分析力なども身に付きます。
簿記検定試験には日商簿記、全経簿記、全商簿記の3種類があり、その中で最も知名度が高いのが日商簿記です。そのため、ビジネスシーンで「簿記」という場合は、日商簿記を指すことがほとんどです。
本記事では、日商簿記に焦点を当てて、その難易度や試験範囲、勉強時間の目安などを解説します。
日商簿記2級とは
日商簿記2級は、経営管理に役立つ知識を習得するための試験です。資格取得を通じて、商業簿記・工業簿記の高度な知識が身に付き、財務諸表の数字から経営状況を把握できるようになるため、企業からは即戦力として評価されるでしょう。
ちなみに、試験は商業簿記と工業簿記(原価計算を含む)の2科目で構成され、合格基準は100点満点中70点以上です。
日商簿記2級の合格は難しい?

ここでは、日商簿記2級の難易度や必要な勉強時間の目安などを解説します。
合格率
日商簿記2級の統一試験(ペーパー試験)における合格率は、過去10回の平均で21.6%となっており、10人受験して2人ほどしか合格できない難関です。
ここ数年で最も合格率が低いのは、2021年2月に行われた第157回試験の8.6%でした。一方、3級の合格率はおおむね30〜40%で推移しています。
ただし、同じ2級でも、ネット試験の平均合格率は38.4%と比較的高い水準にあります。統一試験とネット試験の難易度は変わらないとされていますが、合格率には大きな差があることを覚えておきましょう。
難易度が高いと言われる理由
簿記3級は「商業簿記」のみですが、2級の試験にはより専門的な知識が必要な「工業簿記」が加わり、習得のハードルがぐんと上がります。なお、配点は商業簿記60点、工業簿記40点となっており、工業簿記で得点できなければ、合格ラインの70点に到達することはできません。
加えて、 2016年以降は試験範囲の改定が行われ、1級の範囲だった「連結会計」や「外貨建て取引」などが2級の範囲に追加されたため、難易度が上がったと言われています。
合格のための勉強時間の目安
簿記経験者であれば、独学で150~250時間程度、スクール・通信講座を利用するなら100~200時間の勉強時間が必要だとされています。
初心者が独学で挑戦する際は、300〜350時間程度を見積もっておくのが良いでしょう。その場合、毎日120分程度の学習を続ければ、6カ月程度でクリアできますが、独学の場合、わからない問題があっても自分で解決する必要があります。苦手分野でつまずいた場合は、さらに時間がかかる可能性があるでしょう。
2級の勉強時間についてより詳しく知りたい方はこちらもチェック
独学でも合格を目指せる?
独学でも簿記2級の合格は目指せますが、専門性の高い知識が求められることから、計画的な学習とモチベーションの維持が不可欠です。
独学の場合、自分の好きなペースで学習できることや、費用を最小限に抑えられることがメリットとなります。しかし、学習期間が長くなるため、効率的に学習を進めないと、挫折する可能性が高まることも事実です。
自己管理が苦手な人や疑問解決のサポートを求める人は、スクールや通信講座の検討をおすすめします。
基本的な勉強方法・流れ
以下では、独学を想定した基本的な勉強法や流れを紹介します。
(1)3級の内容を合わせた基礎知識をインプット
2級では、試験範囲に工業簿記が追加されますが、工業簿記は商業簿記で学ぶ仕訳や勘定科目、財務諸表の基本ルールを把握していないと理解するのが困難です。
そのため、独学で2級合格を目指すにあたっては、3級の内容を含めた基礎知識を理解・習得することが不可欠です。3級の合格から期間が空いている人は、あらためて3級の内容を振り返ってみるのも良いでしょう。
最初に基礎を固めておくと、応用問題にも取り組みやすくなります。
(2)暗記と理解で知識を深める
簿記2級の試験には、勘定科目や仕訳の流れなど、ある程度の暗記が必要な部分もありますが、それだけでは合格できません。
合格するには根本的な理論の理解が欠かせないため、暗記だけで満足せず、「どうしてそうなるのか」を把握したうえで、知識を深めていくことが大切です。
理論や仕組みを理解できれば、複雑な問題の答えもスムーズに導き出せるため、実務でも必ず役に立ちます。
(3)問題集を何度も繰り返し解く
独学で2級に合格するには、繰り返し問題を解くことも大切です。インプットした知識を利用して、繰り返し問題を解く(アウトプットする)と、知識が定着しやすくなるため、理解がより深まります。
とはいえ、問題集の答えを覚えるだけだと、本番では力を発揮できません。繰り返し問題を解くときは、答えではなく解く手順を覚えることを重視してください。
(4)苦手分野を作らないようにする
2級の合格ラインである70点を超えるには、商業簿記・工業簿記ともに苦手分野を作らないことが大切です。
たとえば、2級の頻出テーマである「連結会計」の問題は、独学者がつまずきやすい傾向にあります。問題集や過去問に取り組む際は、間違ってしまった原因をつかみながら繰り返し解いて、苦手を克服しましょう。
これといって苦手分野がないのに、過去問や模試で合格点に届かない場合は、全体的に理解が浅い可能性があります。間違えた箇所を分析して点が伸びない理由を探り、1つずつ原因をつぶしていきましょう。
(5)試験直前は、過去問題と予想問題を複数回解く
試験が近くなってきたら、過去問題と予想問題を複数回解き、模擬試験も受けてみましょう。
過去問題は直近3回分に絞って対策すると、近年の出題傾向がつかみやすくなります。一方の模擬試験は、本番で時間がかかりそうな問題や、商業簿記・工業簿記の苦手を洗い出すのに役立ちます。
模擬試験を繰り返し受験すると、雰囲気に慣れるだけでなく時間配分も把握できるので、本番でも落ち着いて臨めるでしょう。
(6)ゆとりを持った学習計画を立てる
学習範囲が広く難易度も高い2級では、簿記経験者であっても、ある程度の勉強時間が必要です。受験を決めたら、早めに勉強に着手してください。特に自由に使える時間が少ない社会人は、取り組み始める早さが重要になります。
初心者におすすめの勉強方法
ここでは、独学を想定して、初心者におすすめの勉強方法を紹介します。
(1)最初に3級の商業簿記を理解する
初心者の場合、3級の商業簿記から学びましょう。
先に説明したように、2級の内容は3級の知識が前提となるので、3級を受けていない・持っていない人は、基礎となる3級の学習が不可欠です。3級の商業簿記を習得しておくと、2級の工業簿記の理解もスムーズになり、学習を進めやすくなるでしょう。
なお、工業簿記は商業簿記と比べて範囲が狭く、出題パターンが限られています。そのため、過去問などで出題パターンを押さえれば、効率的に学習を進められるはずです。
(2)コツコツ積み重ねて学習する
簿記になじみのない初心者は、勘定科目や仕訳ルールなどの知識の習得に時間がかかります。効率良く知識を定着させたい場合は、毎日少しずつでも継続的に勉強を行ってください。
勉強を継続させるポイントは、小さな目標を設定したうえで1つずつクリアし、成功体験を積み重ねることです。そうした体験が、「自分にもできる」という自信につながり、学習意欲を維持しやすくなるでしょう。
ちなみに、目標は「用語を5個覚える」や、「10分だけ集中する」といったもので構いません。
忙しい社会人におすすめの勉強方法

続いては、独学を想定して、忙しい社会人におすすめの勉強方法を紹介します。勉強に使える時間が限られている社会人は、平日と休日とで取り組み方を変えて、効率アップを目指しましょう。
(1)休日はしっかり時間を取って学習
平日に時間を確保しづらい社会人は、時間を多く取れる休日に集中的に学習するのがおすすめです。
平日の終業後に机に向かうと、疲れのせいで勉強がはかどらなかったり、翌日の仕事が気になって身が入らなかったりすることも少なくありません。そのような場合は無理をせず、休日に落ち着いて学習するほうが効率的です。
(2)スキマ時間を活用
スキマ時間を活用し、スマホアプリや参考書などで知識を深めるのもおすすめです。
休日にまとめて学習した内容は、1週間後には忘れている可能性があるため、毎日少しでも簿記に触れ、知識を定着させることが大切です。
通勤の移動時間や昼の休憩時間などの10分程度でも構いません。スキマ時間にアプリや参考書で用語の暗記や仕訳問題をこなすと、知識が深まり、週末の学習も効率良く進められます。
簿記2級の勉強方法のコツ・注意点
独学で簿記2級の合格を目指す場合、商業簿記と工業簿記のバランスを意識して勉強する必要があります。
簿記2級の試験では、商業簿記と工業簿記の両方から出題され、合計70点以上で合格となります。独学を選ぶ人の中には、比較的なじみのある商業簿記に時間をかける人も多く見られますが、合格を目指すには2分野でバランス良く得点しなければなりません。知識がどちらかに偏らないように、学習を進めましょう。
もう1つのコツは、参考書を1冊に絞ることです。独学で知識を深めようとすると、複数の参考書に手を出したくなるかもしれませんが、教材が多いとすべてが中途半端で終わる可能性があります。
あれもこれもと手を出すのではなく、自分にとってわかりやすい参考書を1冊だけ選んで、しっかりと読み込みましょう。
まとめ|簿記の理論をしっかり理解して2級合格を目指そう
簿記2級は、3級の出題範囲に工業簿記が加わるだけでなく、商業簿記の問題もさらに難しくなります。独学で合格を目指すなら、長期の学習スケジュールを立て、計画的に進めていくのが良いでしょう。
2級を取得すると、会計・財務の知識をアピールできるため、社会人にとって非常に有用です。この記事を参考に、ぜひ簿記2級にチャレンジしてみてください。
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