
簿記3級の取得を目指したいけれど、何をどう勉強すればよいかわからない。何から始めたらよいかもわからない……。初めて資格取得に挑戦するときは、そんなふうに悩んでしまう方も多いでしょう。
本記事では日商簿記検定試験の3級を取り上げて、効率的な勉強法や合格に向けたポイントを紹介します。簿記3級の合格を目指している方はもちろん、独学での勉強法を知りたい方も、ぜひ参考にしてください。
そもそも簿記3級とは
ここでは、簿記の基礎知識について解説します。
簿記とは
簿記とは、企業の経営活動を帳簿に細かく記録し、整理して、経営成績や財政状態を明らかにするための技能です。
簿記を理解すると、基礎的な会計や経営管理の知識、財務諸表を読む力などが身に付くため、簿記の資格取得を推奨している企業も少なくありません。
簿記の検定試験には日商簿記、全経簿記、全商簿記の3種類がありますが、そのなかで最も知名度・難易度が高く、受験者数も多いのが日商簿記です。そのため、ビジネスの現場で「簿記」という場合、日商簿記を示すことがほとんどです。
本記事では、日商簿記にフォーカスして、その概要や勉強時間の目安、勉強方法を解説していきます。
日商簿記3級の試験概要
まずは、日商簿記3級の試験概要を紹介します。
- 試験方式:統一試験(ペーパー試験)、CBT試験(ネット試験)
- 試験科目:商業簿記(3題以内)
- 試験時間:60分
- 合格基準:70%以上(100点満点中)
- 合格率:30~40%前後
日商簿記3級は、小規模な企業の経理実務に対応できるレベルとされており、試験科目は商業簿記のみとなっています。出題区分は「仕分け問題」「帳簿記入・勘定記入などの問題」「決算書作成問題」の3つで、配点は仕訳問題が45点、帳簿記入・勘定記入問題が20点、決算書作成問題が35点です。
また、3級の試験方式には統一試験(ペーパー試験)とCBT試験(ネット試験)があり、ネット試験であれば、合否結果が即時にわかるようになっています。
合格率は30〜40%程度と比較的高めなので、しっかり勉強して臨めば、初心者でも十分に合格を目指せるでしょう。
2021年より試験が変更になっているので注意
2021年から日商簿記3級では、試験時間、出題問題数などが変わりました。
具体的には、試験時間が120分から60分に変更され、株式会社の会計処理に関する設問や法人税・消費税などの問題が出題されるようになっています。
出題内容も以前とは異なるため、参考書は常に最新のものを使うようにしましょう。なお、試験時間が短縮されたことで、3級は1試験日に2回ずつ試験が行われるようになりました。
勉強時間の目安
独学で3級合格を目指す場合、合格に必要な勉強時間は約100~150時間と言われています。一方、スクールを利用する場合は、要点を絞って効率よく学べるので、50~100時間ほどまで勉強時間を短縮することが可能です。
独学とスクールでは、それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分のライフスタイルに合わせて、勉強しやすい方を選びましょう。
3級の勉強時間の目安についてより詳しく知りたい方はこちらもチェック
簿記3級の勉強におけるポイント

ここでは、独学で3級合格を目指す場合の勉強方法のポイントを紹介します。
(1)スケジュールに余裕を持つ
独学で3級を受験するにあたっては、余裕を持ったスケジュールを立てることが大切です。時間的な余裕があれば、わからないところがあっても、くじけることなくモチベーションを維持できるでしょう。
特に社会人は、思うように勉強時間が取れないこともあるので、早めに勉強に取り組むのがおすすめです。
ただし、人によっては、短期間で集中してやるほうが効率的な場合もあります。まずは最終目標となる試験日を決め、そこから逆算して自分に合った方法で進めましょう。
(2)序盤にペースを上げすぎない
学習時間はできるだけ一定にし、学習の習慣化を目指しましょう。
勉強を始めたばかりのときは、モチベーションが高いうえに、基礎的な内容が続くため勉強がはかどります。しかし、そこでペースを上げすぎると、疲労がたまったり結果が出なくなったりしたときに、やる気を失いかねません。
そうならないためにも、無理のないペースで着実に勉強を進め、ポジティブな気持ちを維持していってください。
なお、スマホアプリなどでスキマ時間を上手に活用するのも、学習を習慣化させるよい方法です。
(3)復習は意識して徹底する
簿記3級に合格するには、用語を丸暗記するのではなく、それぞれの言葉の意味や本質を理解することが大事です。
新しい単元に進んだときや難しい問題に遭遇したときは、問題演習と復習を何度も繰り返して、確実に知識を定着させましょう。
特に初心者は、「テキストを読む→演習問題を解く」という作業を反復して、試験で通用する知識と技術を身に付けてください。
(4)ノートを作り込むことに注力しすぎない
簿記は用語やルールを覚えることが重要なため、人によってはノート作りに注力しすぎる場合があります。
後で見返してわかりやすいノートを作るのはよいことですが、ノートはポイントを整理するためのツールにすぎません。そこに時間をかけすぎて、スケジュールに支障が出ないように注意しましょう。
(5)電卓の操作に慣れておく
試算表や精算表の作成では、電卓での正確な計算が必須です。そのため、電卓の操作に慣れておくことも、合格を目指すための大事なポイントと言えるでしょう。
試験対策の段階から自分の使いやすい電卓を選び、使い慣れておくことは、本番での入力ミスの防止につながります。金額の集計を正しく行えるように、繰り返し練習しましょう。
上位級を目指す場合は、より高度な計算が求められるので、意識して電卓に慣れておくようにしてください。
3級合格に向けた具体的な勉強方法とステップ
ここでは、段階をおって3級合格に向けた効率的な勉強法を紹介します。
ステップ1:わかりやすい参考書を一冊選んで、徹底的にインプット
簿記3級は、経理や会計の基礎知識を習得するための試験です。したがって、3級の内容が理解できていないと、2級以上を目指すことは難しくなります。
基礎をしっかり理解するためにも、はじめに参考書の内容を徹底的にインプットしてください。
独学の場合、参考書選びに迷ってしまい何冊も購入しがちですが、3級の試験対策に多くの参考書は必要ありません。図やイラストが入っていて、理解しやすそうなものを一冊選び、しっかり読み込みましょう。
ステップ2:基礎知識が頭に入ったら、演習問題を繰り返し解く
勘定科目や仕訳などについて、ひととおりインプットが済んだら、演習問題を繰り返し解きましょう。参考書を読み込む作業(インプット)と、問題を解く作業(アウトプット)を往復することで、より知識が定着しやすくなります。
また、何度も問題を解くことで、自分のウィークポイントも発見できます。
ステップ3:苦手分野や間違いを潰す
問題を解いて明らかになった苦手分野や、間違えやすい項目は、解説文や参考書を活用してしっかり見直してください。
見直しをする際は、「答え」を覚えるだけでなく、意味や理由を深く掘り下げることが重要です。それによって、知識が深まり応用力も身に付くでしょう。
苦手分野やつまずきポイントをなくすことは、正答率アップにつながるため、時間の限られた社会人にとっては、有効な勉強方法と言えます。意識して取り組むようにしましょう。
ステップ4:過去問を数回解く
過去問題集は、出題範囲や形式を理解し、自分の得意分野・苦手分野を知るための重要なツールです。複数回解いて、実践的な力を養いましょう。
間違えた問題については、間違いの原因(知識不足、計算ミスなど)を特定したうえで、再度参考書を読み込んで、「より確実な知識」を習得してください。
ステップ5:本番に近い環境で模擬試験
試験が近づいてきたら、本番に近い環境で模擬試験を行いましょう。より本番に近い状況を作ることで、試験当日の緊張を抑えられます。
簿記3級合格に向けた試験のコツ

ここでは、簿記3級合格に向けての試験のコツを紹介します。
(1)本番は自信のある問題から解く
本番では、問題を解く順番を決め、自信のある問題から解いていくことが、合格に向けてのポイントです。
試験本番になると緊張してしまい、演習や模擬試験では解けていたはずの問題に苦戦することもあります。そうした場合は、一度わからない問題から離れ、自信のある問題から解いていくのがおすすめです。
問題が解けたことで自信が生まれ、わからなかった問題にも落ち着いて対処することができるでしょう。
焦らず慌てず、臨機応変に対応するためにも、「わからない問題があったらどうするか」「時間が足りなくなったらどうするか」など、自分なりのルールを決めて試験に臨むのもよい方法です。
(2)ネット試験では専用の対策をする
簿記3級をネット試験で受験する場合は、ネット試験に向けた対策をしておくことが大切です。
対策のポイントには、以下が挙げられます。
- 試験会場・試験日の選択
- 解答方法・操作方法に慣れておく
- 不具合があったら、すみやかに試験官に報告する
- 筆記用具は持ち込まない
日商簿記のネット試験は、自宅で自分のパソコンを使って受験をするのではなく、試験会場と試験日を自分で選んで受験します。ちなみに、試験日の3日前までであれば申し込みや日程、試験会場の変更・キャンセルが可能です。
試験では、パソコンの画面に表示された問題に対し、マウスとキーボードを使って入力していきます。金額などの数字はテンキー操作で入力しますが、桁区切りのカンマは自動で入力されるため、受験者側では入力しません。桁数の間違いがないかなどを確認しながら進めましょう。
また、ネット試験ではまれに桁区切りのカンマが入力されないなどのトラブルが起きることがあります。トラブルやパソコンの不具合などが生じた場合には、すみやかに試験官に報告し、指示を仰いでください。
鉛筆などの筆記用具の持ち込みは認められていないので、メモを書く場合は会場で貸し出されるボールペンを使用しましょう。
なお、年3回の統一試験の前後は、ネット試験が休止されるので注意してください。
まとめ|効率的な勉強法で3級合格を目指そう
簿記3級は、適切な対策をすることで、初心者でも独学で合格を目指せます。
独学で学習を進めるにあたっては、スケジュールの管理や時間の確保、基礎知識の習得などが大切です。自分に合った効率的な勉強法を見つけて、合格への一歩を踏み出しましょう。