
トリマーやドッグトレーナー、動物介護士など、犬に関わる資格は多岐にわたります。犬に関わる仕事を目指す上で、資格の取得はスキルの証明となるだけでなく、キャリアの方向性を定めるためにも大切です。
当記事では、犬に関わる代表的な資格を9つ厳選して紹介し、それぞれの特徴や取得方法、活躍の場について分かりやすく解説します。犬に関わる仕事をしたいと思っている方は、ぜひ当記事を参考にして資格取得を検討してください。
犬に関わる資格の特徴は?
犬に関わる仕事には、トリマーやドッグトレーナー、動物介護士などさまざまな職種があります。しかし、犬に関わる資格の多くは民間資格であり、国家資格として認められているのは「獣医師」と「愛玩動物看護師」のみです。国家資格は法的な専門性が求められる分野で必要とされる一方、民間資格はスキルや知識を証明する手段として広く活用されています。
ただし、将来的にペットサロンや犬のしつけ教室などを開業する場合には、「動物取扱責任者」になる必要があります。動物取扱責任者になるためには、獣医師や愛玩動物看護師の免許を取得するか、6か月以上の実務経験と、都道府県が認めた所定の資格、または専門知識・技術について1年以上教育する学校などの卒業が必要です。
犬に関わる資格は進路や働き方に直結する重要なポイントとなるので、自分の目指す働き方に合った資格選びが大切です。
犬に関わる資格9選

犬に関わる資格には、しつけや医療、トリミングなどさまざまなアプローチがあります。ここでは、犬に関わる資格を9つ紹介するので、どの仕事に関わりたいかを考える際の参考にしてください。
獣医師
獣医師は、動物医療に関する専門知識と技術を持ち、動物病院だけでなく、動物園や保健所、検疫所、製薬・食品関連企業など多岐にわたる分野で活躍する仕事です。動物の診療だけでなく、人と動物の共通感染症の対策や食品の安全確保といった公衆衛生分野でも重要な役割を担います。
獣医師は国家資格であり、全国17校ある獣医学科の大学で6年間学び、卒業後に獣医師国家試験に合格しなければなりません。試験は年に1度実施され、獣医学の17科目に加え、法律や倫理に関する問題も出題される高度な内容です。
需要の高まりにより就職率は非常に高く、将来性のある職業と言えるでしょう。動物に関わる仕事の中でも、社会的信頼と責任の重い資格です
動物介護士
動物介護士は、老犬や老猫などシニア期の動物に対する介護や病気の知識を有するスペシャリストであり、JADP(一般財団法人 日本能力開発推進協会)が認定する民間資格です。合格者には「JADP認定動物介護士®」の称号が与えられ、動物介護の知識と技能を持つことを証明できます。
資格取得のためには、協会指定の教育機関が提供する講座の全カリキュラムを修了し、その後に在宅で試験を受ける必要があります。試験では、シニア期の基礎知識や介護・病気に関する知識が問われ、得点率70%以上で合格です。
動物介護士は、ペットの高齢化が進む現代において需要が高まっており、動物福祉やペットケアの分野での活躍が期待されています。比較的取得しやすい資格でありながら専門性が高く、実務でも重宝される資格です。
出典:一般財団法人 日本能力開発推進協会「JADP認定動物介護士」
JKC公認トリマー
JKC公認トリマーは、犬の美容と健康管理の専門家であり、一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)が認定する民間資格です。犬の毛や皮膚、爪、耳などのケアを行うほか、飼い主からの健康相談にも対応できる知識と技術が求められます。
資格は技術レベルに応じてC級から師範まで5段階に分かれており、まずはC級から取得を目指します。取得方法には、JKC公認のトリマー養成機関に入学する方法と、実務経験を積みながら独学で受験する方法の2通りがあります。試験は筆記と実技で構成され、いずれも70点以上の得点が必要です
資格取得後も犬種ごとに異なるスタイルを学び、経験とセンスを磨くことで、信頼されるトリマーとして成長できます。
愛玩動物看護師
愛玩動物看護師は、獣医療の現場で診療の補助や動物の看護を行う専門職で、農林水産大臣と環境大臣の免許を受けて名乗ることができる国家資格です。犬や猫などの愛玩動物の世話や飼い主へのアドバイス、高齢動物のケアなど幅広い役割を担います。
資格を取得するには、大学で指定の科目を修了して卒業、または指定の養成所で3年以上学び、愛玩動物看護師国家試験に合格することが必要です。試験では動物看護の知識と技能が問われ、高度な学習と実践が求められます。また、2027年4月末までは、既卒者や現任者も講習や予備試験を通じて受験資格を得られます。
ペットシッターアドバイザー
ペットシッターアドバイザーは、ペットの留守番時に世話を行う「シッター業務」に必要な知識とスキルを備えていることを証明する民間資格です。ペットの性格や種類に応じた接し方、サービス提供の進め方、トラブル時の対応など、ペットシッターに必要な知識を学びます。
受験資格に制限はなく、インターネットで申込み、在宅で受験できます。資格取得後は、ペットシッターとしての活動だけでなく、自宅やカルチャースクールで講師としての活躍も可能なので、将来的な独立や開業にも役立つ資格です。
出典:日本インストラクター技術協会「ペットシッターアドバイザー資格」
ドッグセラピスト
ドッグセラピストは、マッサージやアロマテラピーを通じて犬のストレスを和らげ、心身の健康をサポートする癒やしの専門職です。犬の行動やしぐさから心の状態を読み取り、必要に応じてしつけや飼い主への指導も行います。
一般財団法人日本能力開発推進協会の「JADP認定ペットセラピスト®」の資格取得には、協会指定の教育機関でカリキュラムを修了する必要があり、犬の健康管理や応急処置、食事療法、マッサージ技法など幅広い知識が求められます。修了後に試験を受けて合格することで、ドッグセラピストとして活動可能になります。
専門的なスキルに加え、犬への深い理解と飼い主への共感力が必要ですが、動物福祉の観点からも注目される分野で、今後ますます需要が高まる資格です。
出典:一般財団法人 日本能力開発推進協会「JADP認定ペットセラピスト®」
ドッグトレーナー
ドッグトレーナーは、家庭犬に対してトイレや散歩、留守番など日常生活に必要なしつけを行う専門家です。盲導犬などを訓練する「犬の訓練士」とは異なり、犬と飼い主の良好な関係づくりをサポートする役割を担います。
一般社団法人日本ドッグトレーナー協会(JDTA)では、C級からA級まで3段階のライセンスを設定しており、経験と知識に応じて段階的にステップアップできます。学習期間はC級で3~6か月程度ですが、A級では1年以上が目安となっています。
実践的なスキルが重視されるため、現場経験や観察力、飼い主とのコミュニケーション能力が求められます。家庭犬の問題行動に対応したり、しつけ教室を開いたりするなど、幅広い場で活躍できる資格です。
出典:一般社団法人日本ドッグトレーナー協会(JDTA)「ドッグトレーナーとは」、一般社団法人日本ドッグトレーナー協会(JDTA)「資格について」
ペット栄養管理士
ペット栄養管理士はペットの健康を支える栄養の専門家で、一般社団法人日本ペット栄養学会が認定する民間資格です。犬や猫の成長・健康維持・生活習慣病予防に必要な栄養知識をもとに、飼い主や業務現場で適切なアドバイスを行う力が求められます。
資格試験を受けるには、3つの講習を修了するか、獣医系・農学系大学の履修が必要で、やや専門性の高い資格と言えます。
動物病院やペットショップ、ペットホテルなど幅広い現場で活用できる実用的な資格で、ペットのQOL向上に貢献できます。
盲導犬訓練士
盲導犬訓練士は、視覚に障害のある方のパートナーとなる盲導犬を育成する専門職です。使用者に盲導犬との歩行方法を指導する「盲導犬歩行指導員」を目指すこともでき、犬の訓練だけでなく、使用者の生活を支える責任ある職業です。
資格は国家資格ではなく、各盲導犬協会が定める独自の基準によって認定されます。たとえば公益財団法人 日本盲導犬協会では、訓練士学校に所属し、働きながら学びつつ資格試験に合格する必要があります。訓練士学校の募集要項は各協会で異なるため、事前に確認しましょう。専門性が高く、取得に時間がかかる資格ではありますが、やりがいの大きな仕事です。
まとめ
犬に関わる資格は、動物医療・介護・美容・しつけなど多岐にわたり、働く場面や目指すキャリアによって選ぶべき資格も異なります。国家資格である獣医師や愛玩動物看護師は、動物医療の分野で専門性の高い業務を担い、社会的信頼性も高い一方、民間資格は比較的取得しやすく、実務に即したスキルの証明として幅広く活用されています
また、動物取扱責任者としての活動を視野に入れる場合は、選任の条件を満たすために特定の資格取得が必要です。自分の理想とする働き方や目標に合わせて、資格選びを行うことが、犬に関わる仕事での成功への第一歩となるでしょう。
※当記事は2025年11月時点の情報をもとに作成しています