
3級ファイナンシャル・プランニング技能士 (以下、FP3級)の受検を考えている方のなかには、「FP3級の実技試験ではどんなことをするのだろう」「実技対策は何をすればいいのだろうか」と不安な方も多いのではないでしょうか。
FP3級の実技試験は3科目 に分かれ、受検者は好きな科目を選べるのですが、科目の選び方が分からない方もいるはずです。
この記事では、FP3級実技試験の概要から、各科目の試験内容、科目の選び方、効果的な対策法までを分かりやすく解説します。
自分に合った実技試験科目を選んで効率よくFP3級合格を目指すために、ぜひ本記事を参考にしてください。
- FP3級の実技試験とは?
- FP3級実技試験「資産設計提案業務」の内容・合格基準・合格率
- FP3級実技試験「個人資産相談業務 」の内容・合格基準・合格率
- FP3級実技試験「保険顧客資産相談業務」 の内容・合格基準・合格率
- FP3級実技試験の科目の選び方
- FP3級実技試験の実際の問題をチェックする方法
- FP3級実技試験の対策法
- FP3級実技試験は3科目。自分に合うものを選び合格を目指そう
FP3級の実技試験とは?
FP3級実技試験とは、学科試験と並び、3級ファイナンシャル・プランニング技能検定を構成する試験の一つです。ファイナンシャル・プランナーとしての基礎知識を活用し、実際の事例に対応する力を問う試験となっています。
ここでは、FP3級実技試験の概要について解説します。
FP3級実技試験の特徴
FP3級の実技試験は、受検者が科目を自由に選択できるという特徴があります。
FP3級の試験は、日本FP協会と金融財政事情研究会(以下、きんざい)の2団体により実施され、学科試験の問題は共通ですが、実技試験の科目や内容はそれぞれ異なります。
日本FP協会が実施する実技試験科目は「資産設計提案業務」で、きんざいが実施するのは「個人資産相談業務」「保険顧客資産相談業務」です。FP3級の受検者は、この3科目のなかから自分の目的や得意分野に合った実技科目を選びます。学科試験と実技試験の両方に合格すると、FP3級合格となります。
FP3級実技試験の方法
FP3級の実技試験は、CBT方式による多肢選択式で行われます。実技という名前が付いていますが、論述や口述の試験ではありません。
FP3級実技試験「資産設計提案業務」の内容・合格基準・合格率
ここからは、日本FP協会が実施するFP3級実技試験科目の「資産設計提案業務」について、試験内容、合格基準、合格率を紹介しましょう。
試験内容
FP3級実技試験の「資産設計提案業務」は、顧客の資産設計提案をするための総合的な力を問う試験です。
関連業法やファイナンシャル・プランナーとして守るべき職業上の倫理を詳細に理解したうえで、顧客へ的確なプランニングを行う能力が審査されます。ファイナンシャル・プランニングのプロセス全体を正しく理解しているかや、顧客の資産状況を分析したうえで希望のライフプランを正しく把握できるかも、審査の対象です。
試験は事例問題が多く、架空の家族のキャッシュフロー表の穴埋め問題や、資料に基づき所得金額を答える問題などが出されることがあります。
合格基準
FP3級実技試験の「資産設計提案業務」の合格基準は、100点満点中60点以上を取ることです。試験時間は60分で、出題される問題数は20問です。
合格率
| 試験期間 | 合格率 |
|---|---|
| 2024年4月~2024年9月 | 85.8% |
| 2024年10月~2025年2月 | 85.6% |
| 2025年4月~2025年9月 | 85.4% |
FP3級実技試験「個人資産相談業務 」の内容・合格基準・合格率
次に、きんざいが実施するFP3級実技試験科目の「個人資産相談業務」について、試験内容、合格基準、合格率をまとめます。
試験内容
FP3級実技試験の「個人資産相談業務」は、個人顧客からの資産相談に的確に対応する能力を問う試験です。
この科目で出題されるのは、具体的な設例に基づく事例問題です。問題には、架空の顧客の属性や、保有する金融資産・不動産などの情報がまとめられています。それをもとに、ライフプラン策定や不動産の有効活用に関する相談に答えるという形式です。
例えば、設例をもとにして年金額を計算したり、顧客へ行う説明として適切なものを選択したりする問題が出題されることがあります。
合格基準
FP3級実技試験の「個人資産相談業務」の合格基準は、50点満点中の30点以上を取ることです。試験時間は60分で、問題数は5題(小問が15問)です。
合格率
FP3級実技試験の「個人資産相談業務」の合格率は、以下のとおりです。日本FP協会が実施する「資産設計提案業務」に比べると、合格率は低くなっています。
| 試験期間 | 合格率 |
|---|---|
| 2024年4月~2024年9月 | 66.67% |
| 2024年10月~2025年2月 | 65.00% |
| 2025年4月~2025年9月 | 65.09% |
FP3級実技試験「保険顧客資産相談業務」 の内容・合格基準・合格率
ここからは、きんざいが実施するFP3級実技試験科目の「保険顧客資産相談業務」について、試験内容、合格基準、合格率を見ていきましょう。
試験内容
FP3級実技試験の「保険顧客資産相談業務」は、顧客からの保険に関する相談に的確に対応できるかどうかを問う試験です。
「個人資産相談業務」と同様、出題されるのは具体的な設例に基づいた事例問題です。架空の顧客の属性、加入中の保険商品、保有金融資産などの情報をもとに、ライフプランの策定、保険商品の活用、相続や贈与についての相談に答えることを想定した問題となっています。
一例として、老後の収入を増やす制度や保険加入の注意点に関する説明として適切なものを選んだり、文章の穴埋めをしたりする問題が出ることがあります。
合格基準
FP3級実技試験の「個人資産相談業務」の合格基準は、50点満点中の30点以上を取ることです。試験時間は60分で、問題数は5題(小問が15問)。合格基準・試験時間・問題数のいずれも、「個人資産相談業務」と共通です。
合格率
FP3級実技試験の「保険顧客資産相談業務」の合格率を、以下の表にまとめました。
「資産設計提案業務」が約85%、「個人資産相談業務」が約65%であるのに対し、「保険顧客資産相談業務」の合格率は40%台という低いものとなっています。
| 試験期間 | 合格率 |
|---|---|
| 2024年4月~2024年9月 | 47.19% |
| 2024年10月~2025年2月 | 46.76% |
| 2025年4月~2025年9月 | 44.05% |
FP3級実技試験の科目の選び方

FP3級の実技試験は3科目から選ぶ必要がありますが、なかにはどの科目を選ぶべきかでお悩みの方もいるでしょう。個々の目的や得意分野に合わせて選ぶとはいっても、具体的な基準は分かりにくいものです。
そこでここからは、自分に合った実技試験科目の選び方について解説します。
キャリア目標で選ぶ
FP3級の知識を今後のキャリアでどう生かしたいのかによって、実技試験科目を決めると良いでしょう。
顧客からの相談業務に幅広く応じたい人や、ゆくゆくは独立したい人、FPの知識を生かしてさまざまな副業をしたい人には、日本FP協会の「資産設計提案業務」か、きんざいの「個人資産相談業務」がおすすめです。
これらの実技試験では、FP3級の試験範囲全体からバランスよく出題されるため、試験対策を通じてファイナンシャル・プランニングの幅広い知識が習得できるでしょう。金融リテラシーを高めたい人にもおすすめです。
一方、保険業界でのキャリアアップを目指している人や、保険業界に就職・転職したい人には、きんざいの「保険顧客資産相談業務」がおすすめです。この科目では保険に特化した内容が問われるので、合格を目指す過程で保険に関する知識を究めることができるでしょう。
会社からの指示に従って選ぶ
金融機関や保険会社などで働いていて、会社からの指示でFP3級を受検する場合は、会社の規定に従って実技試験科目を選びましょう。
会社で団体受検する人は、きんざいの試験を選択するケースが多いようです。会社の指示とは違う科目を選んでしまわないよう、よく注意してください。
過去問を解いてみて選ぶ
過去問を試しに解いてみて、解きやすいと感じる科目を選択するのも一つの方法でしょう。
特に、試験内容が似ている日本FP協会の「資産設計提案業務」ときんざいの「個人資産相談業務」で迷っている人には、この方法がおすすめです。
日本FP協会ときんざいのウェブサイト内で、過去の試験問題と模範解答が無料で公開されています。受検科目を選択する前にぜひチェックしてみてください。
なお、合格率の違いはあくまで参考にするだけにとどめましょう。日本FP協会のほうがきんざいよりも合格率は高いのですが、この背景には受検者層の違いがあります。きんざいには会社の指示で受ける団体受検者が多く、なかにはモチベーションが高くない人もいるため、合格率が低くなると考えられているのです。
どちらを選ぶかでどうしても迷ってしまう場合にのみ、合格率の高さを参考にするようにしましょう。
FP3級実技試験の実際の問題をチェックする方法
FP3級の実技試験について理解するには、試験問題を実際に見ることも重要です。問題を見比べれば科目による違いがよく分かりますし、試しに解いてみれば自分に合った科目を選びやすくもなるでしょう。
各科目の過去問題は、日本FP協会ときんざいのウェブサイト内で公開されています。
FP3級の試験は2024年度に、通年実施のCBT方式へ完全移行し、受検者によって異なる問題がランダムに出題される形となりました。現在公開されているCBT試験の過去問題は、2024年5月と2025年5月公表の各1セット分のみです。
▶日本FP協会の「資産設計提案業務」の試験問題はこちら
試験問題・模範解答|日本FP協会
▶きんざいの「個人資産相談業務」「保険顧客資産相談業務」の試験問題はこちら
CBT試験問題・模範解答:2025年5月公表分|一般社団法人金融財政事情研究会
CBT試験問題・模範解答:2024年5月公表分|一般社団法人金融財政事情研究会
CBT試験への移行前に実施されていた紙試験の過去問題も公表されていますので、併せてチェックしてみてください。
FP3級実技試験の対策法
ここからは、FP3級実技試験に向けた効果的な対策法を紹介します。試験勉強を始める際の参考にしてください。
学科試験対策を十分にしておく
FP3級の実技試験対策としては、まず学科試験対策をしっかりと行い、基礎知識を固めておくことが重要です。
FP3級の試験範囲は学科・実技とも同じで、学科試験では基礎知識問題、実技試験では応用問題が出題されるという形になっています。知識が頭に入っていない状態では応用問題は解けないため、学科対策を通じた基礎固めが先決だと言えるのです。
知識のインプットをした後、学科試験の過去問がスムーズに解けるようになってから、実技試験の過去問演習を始めると良いでしょう。
過去問を繰り返し解く
過去問演習も、FP3級実技試験対策として非常に重要です。なぜなら、同じようなパターンの問題が何度も出題されるというのが、実技試験の特徴だからです。
数年分の過去問を繰り返し解き、よく出る問題のパターンや分野をしっかりと把握しましょう。出題傾向に慣れておけば、本番で似た問題が出たときに正解しやすくなります。
併せて、試験本番と同じ60分間で1回分の過去問に取り組むことも大切です。時間配分の感覚をつかめれば、当日落ち着いて試験に取り組めるようになるでしょう。
通信講座の利用も検討する
FP3級の実技試験対策を効率よく行うには、通信講座の受講を検討するのもおすすめです。
FP3級は、市販の教材が豊富にあり、独学でも合格を目指せる資格です。ですが通信講座を利用すれば、プロの講師によるポイントを押さえた解説を受けられるほか、完成されたカリキュラムに沿って無駄なく学習できるので、独学よりも学習効率が上がるでしょう。
通信講座には、模擬試験付きのものや問題演習が豊富にできるもの、質問対応などのサポートが充実したものなどさまざまな講座があります。自分に合った講座を探してみてはいかがでしょうか。
FP3級実技試験は3科目。自分に合うものを選び合格を目指そう

FP3級の実技試験科目は、日本FP協会が実施する「資産設計提案業務」と、きんざいが実施する「個人資産相談業務」「保険顧客資産相談業務」の3つです。
各科目の出題内容を確認し、事前に過去の試験問題もチェックしたうえで、自分に適した科目を選びましょう。
実技試験対策としては、学科対策を通じて基礎固めをすることと、過去問を繰り返し解くことが有効です。計画的に学習を進めて、FP3級実技試験の合格を目指しましょう。