
中小企業診断士の資格取得を検討している方のなかには、「資格を取ると本当に年収アップにつながる?」「独立したら年収は上がるの?」といった疑問がある方もいるのではないでしょうか。
「中小企業診断士は稼げる資格らしい」と聞いたことがあっても、年収の実態まではよく知らないという方は多いかもしれません。
この記事では、中小企業診断士の平均年収や、資格取得後に年収アップを実現するためのポイントについて詳しく解説します。資格取得を迷っている方はもちろん、年収アップのコツを知りたい有資格者の方も、ぜひ参考にしてください。
中小企業診断士の年収とは?
中小企業診断士の年収はいくらなのか、二つのデータを元に解説します。ご自身の現在の年収や目標年収などと照らし合わせながら、中小企業診断士の年収の実態を確かめてみてください。
中小企業診断士の年収分布
一般社団法人日本中小企業診断士協会連合会が2020年に実施した調査によると、中小企業診断士の年収分布は下表のとおりです。(調査対象者:コンサルティング業務を年間100日以上行う中小企業診断士)
| 年収帯 | 構成比 |
|---|---|
| 300万円以内 | 14.3% |
| 301~400万円 | 8.8% |
| 401~500万円 | 10.0% |
| 501~800万円 | 21.4% |
| 801~1,000万円 | 11.4% |
| 1,001~1,500万円 | 15.4% |
| 1,501~2,000万円 | 6.7% |
| 2,001~2,500万円 | 4.3% |
| 2,501~3,000万円 | 2.8% |
| 3,001万円以上 | 4.8% |
出典:「中小企業診断士活動状況アンケート調査」結果について|一般社団法人日本中小企業診断士協会連合会
最も割合が大きいのは、年収501~800万円の21.4%。また、年収800万円超えの人は計45.4%と、約半数にのぼります。高年収者とみなされやすい年収1,000万円超の人の割合は、34.0%です。
一方、国税庁の調査によれば、2020年の民間平均給与は433万円でした。
これらの数字からは、中小企業診断士の多くが比較的高い収入を得ているということが分かります。中小企業診断士は、高年収を目指せる資格だと言って良いでしょう。
中小企業診断士の年齢別平均年収
厚生労働省がまとめたところによれば、賃金構造基本統計調査(2024年)に基づく中小企業診断士の年収は、903.2万円です。また、年齢別の年収は下表のとおりとなっています。
| 年齢 | 年収 |
|---|---|
| ~19歳 | 269.2万円 |
| 20~24歳 | 440.39万円 |
| 25~29歳 | 604.01万円 |
| 30~34歳 | 858.86万円 |
| 35~39歳 | 902万円 |
| 40~44歳 | 1,096.4万円 |
| 45~49歳 | 1,045.24万円 |
| 50~54歳 | 1,161.77万円 |
| 55~59歳 | 1,358.01万円 |
| 60~64歳 | 983.18万円 |
| 65~69歳 | 570万円 |
| 70歳~ | 593.96万円 |
なおこの数値は、中小企業診断士が該当する「その他の経営・金融・保険の専門的職業」に就く人全体のものです。経営コンサルタントや人事コンサルタントなど、中小企業診断士以外の年収も加味されていますが、目安としての参考にはなるでしょう。
中小企業診断士の年収が高い理由

ここからは、中小企業診断士の年収が比較的高い理由について説明します。資格取得を検討するなら、なぜ高収入につながりやすいのか、その背景を理解しておきましょう。
経営コンサルティングに関する唯一の国家資格だから
中小企業診断士の年収が高い背景としてまず挙げられるのが、専門性と信頼性の高さです。
中小企業診断士は、日本で唯一の経営コンサルティングに関する国家資格です。この資格を取得した人は、経営全般に関する専門知識を持った国家資格者として高く信頼されます。
ダブルライセンスで仕事の幅を広げている人もいるから
中小企業診断士のなかには、他の資格を併せ持つことで幅広い仕事をしている人がいるという点も、有資格者の年収の高さにつながっています。
例えば、中小企業診断士に加えて、公認会計士や社会保険労務士などの資格を持つ人は、会計・税務面や労務面にも強い経営コンサルタントとして多様なニーズに応えています。その分仕事が多いので、年収も高いというわけです。
中小企業診断士資格を取得して年収を上げる方法
中小企業診断士は高年収を得やすい資格ですが、ただ資格を取っただけで年収が上がるわけではありません。ここからは、中小企業診断士の資格を武器にして年収を上げていくための方法を紹介します。
転職する
中小企業診断士の資格を取得後、年収を上げていきたいと考えるなら、まずは転職を考えてみましょう。
中小企業診断士資格を持つ社員に資格手当を支給する企業に転職すれば、年収アップにつながります。資格手当の金額は企業によって異なりますが、月額1~3万円程度が多く、単純計算で12~36万円の年収増となります。
また、高年収を提示する企業への転職にチャレンジするのも良いでしょう。中小企業診断士の資格保有者は、コンサルティングファームやシンクタンクなどで重宝されやすく、こうした企業へ有利に転職できます。資格を武器に、年収アップを目指してみましょう。
独立・開業する
独立・開業することも、中小企業診断士が年収を上げるための有効な方法の一つです。
中小企業診断士として独立・開業すると、自ら営業して案件獲得数を増やしたり、顧問契約を複数締結したり、実績を積み単価を上げたりすることで、企業勤務時よりも年収を上げられる可能性があります。
クライアント数を伸ばす、営業力を磨く、人脈を広げるなどの努力は必要ですが、年収1,000万円以上を目指すことも十分可能だと言えるでしょう。
副業をする
企業に勤めながら中小企業診断士として副業を行うことも、年収を上げるのに効果的です。
コンサルティングやセミナー講師、執筆活動など、中小企業診断士の資格を生かせる副業はさまざま。副業収入額は仕事の量や内容、単価により大きく変わりますが、年間で100〜300万円程度を目指せる可能性もあります。
副業をすれば、収入が得られるだけでなく経験も積めるので一石二鳥です。なお、副業を始める前には、会社が副業を認めているかどうか必ず確認しましょう。
他の資格も取得する
中小企業診断士が年収を上げるには、仕事の幅を広げ、コンサルタントとしての価値を高めることが重要。そのために効果的なのがダブルライセンスです。
中小企業診断士に加えて別の資格も取得すれば、コンサルティングを行える領域が広がったり、クライアントを総合的に支援できるようになったりするため、案件数や顧問料の増加が期待できます。
例えば、中小企業診断士とUSCPA(米国公認会計士)のダブルライセンスを持つと、英語力と会計の知識に優れた国際的な視点を持つコンサルタントとして、グローバル展開する企業からも仕事の依頼を受けられるようになります。
このほか、公認会計士や税理士、社会保険労務士なども、中小企業診断士と相性の良い資格です。年収アップにつなげるため、強みを持ちたい分野の資格取得を検討してみましょう。
中小企業診断士が年収アップを目指す際のポイント

中小企業診断士として年収を上げるには、転職や独立、副業といった収入に直結する行動だけでなく、日頃からの心掛けや取り組みも大切です。ここでは、その具体的なポイントを紹介します。
人的ネットワークを築く
年収アップのベースを作るために、日頃から人間関係の構築を意識しましょう。人的ネットワークは中小企業診断士にとって、仕事の数や収入を大きく左右する重要な要素だからです。
中小企業診断士の仕事の多くは、人からの紹介や、人との関わりのなかで生まれます。経営者交流会や同業者の勉強会、セミナーなどに積極的に参加して、人脈作りや情報収集に努めましょう。
人とのつながりを大切にすれば、金額の大きなコンサルティング案件や、大規模プロジェクトに関与するチャンスをつかめる可能性もあります。
新しい分野にも取り組む
中長期的な収入増加へつなげるには、中小企業診断士の需要が今後いっそう高まると期待される領域にも取り組むのがおすすめです。
例えば、事業承継やDX(デジタルトランスフォーメーション)などは、支援のニーズが高まっている、近年注目の領域です。これらの領域で活躍できるようになれば、中小企業診断士としての自身の価値を高められるでしょう。高単価案件を獲得しやすくなり、収入増に直結します。
その領域に関連する資格を取得して専門性を強化することも、年収アップに効果的です。自分のバックグラウンドや興味関心に応じて、独自性や強みを発揮できる新たな分野を開拓していってください。
▼「中小企業診断士」資格を生かせる仕事をチェックする
中小企業診断士の取得で年収アップを目指そう
中小企業診断士は、取得によって年収アップが期待できる資格です。資格取得後は、高年収が狙えるコンサルティングファームへの転職や、独立・開業、副業、ダブルライセンス取得など、年収増加につながるさまざまな道筋があります。年収1,000万円以上を実現することも不可能ではありません。
自分の得意分野や市場のニーズを踏まえつつ、スキルと人脈を継続的に強化することが、年収を高め続けるカギとなります。年収アップを目指して、計画的にキャリアを築いていきましょう。
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