
営業職は幅広い業界で必要とされる職種です。営業職として働くにあたって資格が必要なわけではありませんが、自身の専門知識やスキルを証明できる資格があれば、顧客や企業からの信頼獲得につながります。また、顧客のニーズを深く理解し、専門知識に基づいた提案を行えるのも資格取得のメリットです。
当記事では、営業職全般で役立つ資格や、特定の業界で評価される資格を幅広く紹介します。「資格をキャリアアップや転職活動にどう生かすか?」についても解説するので、営業職としてのスキルアップ・キャリアアップを目指している方や、資格取得に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
- 営業職全般に役立つおすすめの資格
- 不動産業界に就職・転職したい営業職に役立つ資格
- 金融・保険業界に就職・転職したい営業職に役立つ資格
- コンサルティング業界に就職・転職したい営業職に役立つ資格
- 広告・マーケティング業界に就職・転職したい営業職に役立つ資格
- IT業界に就職・転職したい営業職に役立つ資格
- まとめ
営業職全般に役立つおすすめの資格
営業職としての信頼向上を目指すのであれば、ビジネスの基礎力を高める資格や幅広い業界で通用する資格を取得するのがおすすめです。代表的なものは、パソコンスキルを証明できる「マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)」、英語力を客観的に評価できる「TOEIC®」、営業活動の専門知識を体系的に学べる「営業士」などです。
ここでは、それぞれの資格が営業の仕事にどのように役立つのかを詳しく解説します。
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)は、ExcelやWord、PowerPointといったMicrosoft Office製品の操作スキルを評価・証明する国際資格です。受験に特別な条件はなく、学生から社会人まで誰でも挑戦できます。
試験はパソコンを使った実技形式で行われ、実際にアプリケーションを操作しながら資料作成、データ分析などの問題に解答します。操作スキルがそのまま評価されるため、取得すれば「実務に直結したスキルを有する人材」という客観的な証明になるでしょう。
MOSは、大手企業でも社員教育の一環として導入されることが多く、対策学習を通じて資料作成やデータの整理・分析などの実践的なスキルが磨かれるのも、大きなメリットです。
出典:Microsoft Office Specialist「MOSとは/MOS取得のメリット」
TOEIC®
TOEIC®(Test of English for International Communication)は、英語による実用的なコミュニケーション能力を評価する国際的なテストです。受験に特別な要件はなく、誰でも受験できます。合格・不合格ではなく、10~990点のスコアで自身の英語力を示せるため、就職や転職、昇進、海外赴任など多様な場面で活用されているのも、TOEICの特徴と言えるでしょう。
ちなみに、600点は通常会話であれば要点が分かって応答できるレベル、700点は簡単なビジネスのやりとりを英語でこなせる中級レベルと評価されます。一方、外資系企業や英語を社内公用語とする企業では、800点以上が基準となるケースが多く見られます。
グローバル市場で活躍を目指す営業職にとって、TOEICはキャリア形成の指標となる資格です。TOEICで高スコアを記録する実力があれば、海外顧客との商談やメール・資料作成などで実用的な英語力を示せるでしょう。
営業士
営業士は、マーケティングやセールスに関する専門知識・技術を証明する資格です。受験資格は設けられておらず、営業経験の有無にかかわらず挑戦できます。
資格は「初級」「上級」「マスター」の3段階に分かれており、初級では基本的な営業業務の知識、上級では営業管理や営業指導、マーケティング、マネジメントにおける応用知識が問われます。また、最上位級のマスターでは知識経営戦略や営業事業評価などの実践知識が評価されます。
営業士の資格取得を通じて、営業職に求められるマーケティングや営業、マネジメントの知識・スキルが体系的に学べるため、「勘と根性」ではなく理論に基づいた営業活動が展開できるようになるでしょう。
上級・マスターは経営層や幹部層が対象となっているため、営業職としてキャリアアップを目指す人には特におすすめです。
出典:日本営業士会「営業士」
不動産業界に就職・転職したい営業職に役立つ資格

不動産業界で営業職として活躍するにあたっては、専門性を裏付ける資格が大きな強みとなります。物件取引や顧客対応には、法律、契約に関する知識が欠かせないため、資格を持つことで信頼性や説得力が高まるでしょう。以下では、不動産業界で役立つ資格を紹介します。
宅地建物取引士(宅建士)
宅地建物取引士(宅建士)は、不動産業界で必須とされる国家資格で、不動産取引における重要事項の説明や契約書への記名押印などの業務を担います。受験資格に制限はなく、年齢や学歴、実務経験を問わず誰でも受験できます。
営業職が宅建士を取得すれば、営業から販売まで一貫してかかわれるため、顧客の信頼感・安心感につながるでしょう。資格の有無で商談のスピードや成約率が大きく変わることも考えられます。
なお、重要事項の説明、契約書類への記名などは宅建士の独占業務となっているため、有資格者の社会的なニーズは非常に高く、金融業や建設業、保険業などでも活躍できます。
出典:一般財団法人 不動産適正取引推進機構「宅建試験の概要」
マンション管理士
マンション管理士は、法令や実務の専門知識を生かして、マンションの維持管理に関する相談・助言・指導などを行う国家資格です。受験資格に制限はなく、年齢や学歴を問わず誰でも受験可能です。
資格を取得すると、管理規約の改正や大規模修繕計画の策定、管理組合の管理者や住民への相談業務などについて、専門的で高度なサポートができるようになります。
営業職がマンションの維持管理の知識を身につければ、マンション購入希望者に対して、将来的な維持管理の見通しや管理組合の体制、管理規約などを的確に説明できるため、顧客からの信頼度が向上するでしょう。
出典:公益財団法人マンション管理センター「活躍するマンション管理士 管理組合の多様なニーズに応えるパートナー」
インテリアコーディネーター
インテリアコーディネーターは、住宅や施設の内装、インテリア、装飾などをコーディネートし、快適な空間を企画・提案するための民間資格です。公益社団法人インテリア産業協会が主催しており、資格取得を通じて空間デザインやインテリア、建材、照明器具、壁紙などに関する幅広い知識が身につきます。
不動産営業職がインテリアコーディネーターの資格を取得すれば、物件そのものの魅力だけでなく、具体的な「住まい方」までを提案できるようになります。住まい選びは、生活の質を左右する大切な決断となるので、説得力ある提案ができれば、顧客の信頼を獲得しやすくなるでしょう。
金融・保険業界に就職・転職したい営業職に役立つ資格

金融・保険業界で営業職として活躍したい場合は、資格取得を通じて幅広い金融知識を身につけるのも1つの方法です。顧客の資産形成やリスク管理にかかわる提案には、法律・税務・金融商品の理解が不可欠なため、有資格者としての知識と技能は、社内外から重宝されるでしょう。ここでは、金融・保険業界で役立つ資格を紹介します。
ファイナンシャルプランニング技能士(FP)
ファイナンシャルプランニング技能士(FP)は、税金や保険、年金、投資、相続、不動産などに関する幅広い知識を生かして、顧客の資産設計をサポートする国家資格です。試験は学科と実技の2科目で構成され、両方に合格することで資格が付与されます。
金融・保険業界でFP資格を持っていると、金融商品や保険の提案だけでなく、顧客の人生全体を見据えたコンサルティングが可能になります。顧客に寄り添った長期的な資産形成のサポートを行えるため、就職・転職市場でも高く評価されるでしょう。
生命保険募集人
生命保険募集人は、生命保険会社の営業職員や代理店として、保険商品の案内・提案・販売を行うための資格です。受験資格として特別な学歴や経歴は不要ですが、試験前に各保険会社が実施する研修を受講する必要があります。
営業職として働く方がこの資格を持っていると、法令遵守に基づいた正しい情報提供や適切な商品提案が可能となり、顧客の信頼を得やすくなります。生命保険募集人資格は、保険営業の出発点であり、キャリア形成や実績向上の第一歩となる資格です。
出典:一般社団法人 生命保険協会「営業職員・代理店の教育制度」
損害保険募集人
損害保険募集人は、自動車保険や火災保険、傷害疾病保険などの損害保険商品を案内・提案・販売するために必要な資格です。取得するには、損害保険協会が実施する損害保険募集人一般試験(損保一般試験)に合格する必要があります。
保険業界で営業活動を行う際にこの資格を持っていると、顧客に法令順守に基づいた正確な情報を伝え、ニーズに即した商品提案ができるようになります。損害保険募集人資格は、信頼される保険営業としての出発点と言えるでしょう。
証券外務員
証券外務員は、株式や投資信託、債券などの金融商品を取り扱う営業職に必須の資格で、金融商品取引法に基づいて、金融商品取引業者(証券会社、銀行など)の職員に取得が求められています。受験資格に特別な制限はなく、一般の受験者も申し込み可能です。
この資格があると、顧客に金融商品を提案できるようになり、投資信託や株式取引を通じた資産形成のサポートができます。そのため、証券外務員資格は金融営業に携わる上で、最初に取得することが多い資格となっています。
なお、証券外務員には一種と二種があり、一種を取得すればほぼすべての金融商品を取り扱うことが可能です。
コンサルティング業界に就職・転職したい営業職に役立つ資格

コンサルティング業界で営業職として活躍したい場合は、高度な分析力と提案力を裏付ける資格を選ぶのがおすすめです。以下のような資格を取得すれば、戦略的な提案を行える営業人材として評価されるでしょう。
経営学修士(MBA)
経営学修士(MBA:Master of Business Administration)は、大学院の修士課程を修了することで授与される学位(修士号)であり、国家資格や民間資格とは異なります。
MBAは国内外のビジネススクールで取得可能で、取得期間は一般的に1~2年が目安です。授業では経営戦略、マーケティング、組織論、ファイナンス、オペレーションマネジメントなど、企業経営にかかわる幅広い分野を学び、論理的思考力や課題解決力を養います。
営業職がMBAを取得すれば、「顧客の経営課題を深く理解し、戦略的な提案を行える人材」として評価が高まるでしょう。MBAプログラムを通じて、多様な業界・専門職に幅広い人脈ができるのもメリットの1つです。
中小企業診断士
中小企業診断士は、経営コンサルティング分野で唯一の国家資格であり、企業の経営状態を診断し改善策を提案する専門家です。取得するには、中小企業診断協会が実施する試験に合格した後、実務補習・診断実務(実務従事)を経て、登録を行う必要があります。また、中小企業基盤整備機構や登録養成機関の養成課程を修了するルートもあります。
中小企業診断士の資格取得を通じて、財務分析や経営戦略などの高度な専門知識を身につければ、顧客の事業課題を深く理解し、的確な提案を行えるようになります。中小企業診断士は、単なる商品提案を超えた「課題解決型」の営業を実現できる資格と言えるでしょう。
広告・マーケティング業界に就職・転職したい営業職に役立つ資格
広告・マーケティング業界の営業職として成果を上げるには、データ分析やデジタル広告運用に関する専門知識を身につけるのが有効です。ここでは、専門性の高い知識・スキルを習得し、提案力や課題解決力を高めるための資格を3種紹介します。
Googleアナリティクス個人認定資格(GAIQ)
Googleアナリティクス個人認定資格(GAIQ:Google Analytics Individual Qualification)は、Google アナリティクスの操作スキルやデータ分析の理解度を証明する資格です。学習用の講座が無料で公開されているため、マーケティングやデータ分析の基礎知識がある方にとっては、比較的取り組みやすい資格でしょう。
GAIQを取得すれば、Webデータ分析に関する基礎スキルが身につくため、Webサイトの改善提案を行う際に大きな強みとなります。顧客に対して勘や経験則ではなく、客観的なデータに基づいた改善策を示せるため、営業活動の信頼性も高まるはずです。
出典:Google「Google アナリティクス個人認定資格(GAIQ)のよくある質問」
ウェブ解析士
ウェブ解析士は、Web解析に関する体系的な知識とスキルを証明する資格です。一般社団法人ウェブ解析士協会(WACA)が運営しており、Webサイトのデータ収集と分析、活用を通じて、デジタルマーケティングを推進することを目的としています。
単なる広告提案ではなく、「数値データに基づいた根拠のある提案」「成果につながる戦略提案」ができるようになるため、営業を行う際の説得力が増すでしょう。
Google広告認定資格
Google広告認定資格は、Google広告に関する知識を認定する資格で、検索広告、ディスプレイ広告、動画広告、ショッピング広告、アプリ広告など、分野ごとに試験が用意されています。広告運用の基礎知識を持つ方にとっては取り組みやすい資格ですが、実務経験があるとより合格しやすいでしょう。
取得することで、Googleから認められた広告運用の専門知識を示せるようになるため、顧客からの評価・信頼につながります。データに基づいた広告提案や運用改善など、広告・マーケティング業界に不可欠な営業力を強化する意味でも有用な資格です。
IT業界に就職・転職したい営業職に役立つ資格

IT業界で営業職として成果を上げるためには、システムやネットワークに関する基礎知識を理解しておくのがおすすめです。顧客とのやりとりにおいては、技術的な用語や仕組みを正しく理解し、専門部門との橋渡し役を担えるかどうかが、成果に直結するでしょう。
ここでは、IT業界の営業職に役立つ資格を紹介します。
ITパスポート
Tパスポートは、「ITに関する基礎的知識」を証明するための国家試験です。情報処理推進機構(IPA)が実施しており、受験資格に制限はありません。学習を通じて情報システム、ネットワーク、データベース、情報セキュリティなどの知識が習得できるため、営業職がITを学ぶ際の第一歩として最適な試験と言えるでしょう。
営業職としてITの基礎知識を身につけていれば、技術者との円滑なコミュニケーションが可能になるほか、顧客に対してもITリテラシーに基づいた提案を行えます。
※2026年4月27日以降は試験実施が一時休止される予定となっているため、公式サイトで最新情報をご確認ください。
基本情報技術者
基本情報技術者試験(FE)は、情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験で、ITエンジニアの「登竜門」としても知られています。試験では、テクノロジ系(コンピュータの基礎理論、アルゴリズム、データベースなど)、マネジメント系(プロジェクト管理、品質管理など)、ストラテジ系(経営戦略、企業法務など)の3分野について広く出題されるため、一定の学習時間と実践的な理解が必要です。
資格を取得することで、顧客への提案時にシステム開発やセキュリティに関する専門的な理解を示せるため、技術者との橋渡し役としての信頼度が向上します。IT業界の営業職が「コンサルティング型営業」を行う上で、大きな強みとなるでしょう。
まとめ
営業職が資格を取得すると、顧客との信頼関係を築き、成果を上げるための大きな武器となり得ます。たとえば、パソコンや英語など汎用的な資格は日常業務の効率化や国際的な対応力を高めます。一方、業界に特化した資格は、専門性を身につけた証しとして評価されるでしょう。
資格取得を通じて得られる知識やスキルは、キャリア形成や就職・転職にも役立ちます。営業職として長期的に成長したい方は、自分のキャリアビジョンに合った資格取得を目指しましょう。
※当記事は2025年8月時点の情報をもとに作成しています
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